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アル・トライフ地区:サウジアラビアの博物館の至宝たち

ディルイーヤ博物館には、第一次・第二次サウード王国の発展に貢献した重要な文書のレプリカがある。(撮影:アブドゥラー・アルジャブル)
ディルイーヤ博物館には、第一次・第二次サウード王国の発展に貢献した重要な文書のレプリカがある。(撮影:アブドゥラー・アルジャブル)
伝統建築博物館では、サウード宮殿の壁の建設過程を順を追って見ていくことができる。(撮影:アブドゥラー・アルジャブル)
伝統建築博物館では、サウード宮殿の壁の建設過程を順を追って見ていくことができる。(撮影:アブドゥラー・アルジャブル)
ディルイーヤ博物館には、第二次サウード王国を創設したイマーム・トゥルキ・イブン・アブドゥッラーが所有していた「アル・アジラブ刀」のレプリカが展示されている。(撮影:ファイサル・アル・ダキール)
ディルイーヤ博物館には、第二次サウード王国を創設したイマーム・トゥルキ・イブン・アブドゥッラーが所有していた「アル・アジラブ刀」のレプリカが展示されている。(撮影:ファイサル・アル・ダキール)
アラビア馬博物館には、さまざまなタイプの鞍のレプリカ、衣服、1932年の王国統一に関連する重要文書などが展示されている。(撮影:アブドゥラー・アルジャブル)
アラビア馬博物館には、さまざまなタイプの鞍のレプリカ、衣服、1932年の王国統一に関連する重要文書などが展示されている。(撮影:アブドゥラー・アルジャブル)
アラビア馬博物館には、アブドルアジーズ国王が英国王ジョージ6世に贈ったタルファーという名の愛馬の実物大ブロンズ像も展示されている。(撮影:アブドゥラー・アルジャブル)
アラビア馬博物館には、アブドルアジーズ国王が英国王ジョージ6世に贈ったタルファーという名の愛馬の実物大ブロンズ像も展示されている。(撮影:アブドゥラー・アルジャブル)
軍事博物館には、第一次・第二次サウード王国時代に使われたあらゆる武器のレプリカが展示されている。
軍事博物館には、第一次・第二次サウード王国時代に使われたあらゆる武器のレプリカが展示されている。
ディルイーヤ博物館では、アブドラアジーズ国王の息子、娘、孫の名前を詳しく記したアル・サウード家の家系図を見ることができる。
ディルイーヤ博物館では、アブドラアジーズ国王の息子、娘、孫の名前を詳しく記したアル・サウード家の家系図を見ることができる。
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23 Sep 2021 12:09:16 GMT9
23 Sep 2021 12:09:16 GMT9

ラマ・アルハマウィ

リヤド:アル・トライフ地区には、世界最大の野外博物館がある。アラブニュースでは、この地区にある5つの博物館を訪問した。これらの博物館では、生活様式、貿易、領土問題、建築物といった重要な側面のすべてを、サウジアラビア王国の誕生まで遡って詳細に紹介している。

1 – ディルイーヤ博物館:

ディルイーヤ博物館では、サウジアラビアの一連の歴史的出来事が国家形成まで遡り段階を経て説明されている。

展示は、西暦400年に始まる。バヌ・ハニファ部族がアラビア半島西部からアル・ヤママの中心部に移動した出来事に関する地図や文書が展示されている。

また、ディルイーヤの成立は1446年、マニ・アール・ムライディが従兄弟のイブン・ディルと同地域の指導者の地位を共有したことに始まることも説明されている。

第一次、第二次サウード王国の発展に貢献した剣、コイン、切手、重要文書の複製なども展示されている。

博物館では、サウード王家家系図の各世紀における変遷も展示されている。来館者はデジタルかつインタラクティブなアクティビティを通し、1744年のイマーム・ムハンマド・ビン・サウードによる第一次サウード王国建国まで遡って、王家の家系図を閲覧したり、地域の統一、安定、改革の歴史について学んだりすることができる。

この家系図では、イマーム・トルキ・ビン・アブドゥラーがオスマン帝国の駐留軍をナジュドから追い出し、第二次サウード王国を建国し、アブドルアジーズ・ビン・アブドル・ラフマン・アル・ファイサル国王がサウジアラビア王国に帰還するまでの王家の系譜が、詳細に説明されている。

この博物館の最大の特徴のひとつは、第二次サウード王国の建国者であるイマーム・トルキ・ビン・アブドゥラーが所有していた「アル・アジュラーブの剣」のレプリカが展示されていることだ。剣の名前は、刃の端が錆びていることに由来する。

2 – アラブ馬博物館:

アラブ馬博物館では、1932年に王国が統一された際に、戦争、貿易、輸送において馬が果たした重要な役割について詳しく紹介している。

館内には、当時アル・サウード家が所有していた何千頭もの馬の名前を記した重要書類の複製が多数展示されている。

当時の貴族や首長は、馬を次のような5つのカテゴリーに分けていた。

ケイラン – 目の周りの黒い輪がアイライナー(コール)に似ていることからこう名付けられた。

アル・ハムダーニ – ケイランと区別するために、所有者の名にちなんで名付けられた。

アル・サクラウィ – 光沢のある被毛から名付けられたこの馬は、首の長さや目の輝きが特徴の馬として知られている。

アバヤン – 伝説によると、レース中に騎手の外套(アバヤ)がこの馬の尻尾まで滑り落ちたという。馬は外套が落ちないよう、レース中ずっと尻尾を上げていたという。

ハドバン – 最強最速の馬の一つで、その名は「長い前髪」(馬のたてがみの上の部分)を意味する。

館内には、アブドルアジーズ国王がイギリスのジョージ6世に贈った愛馬タルファの実物大のブロンズ像も展示されている。

この博物館では、馬を飼育することになり、馬が最終的には輸送や戦闘に重要な役割を果たすようになった様子を紹介している。また、鞍や乗馬服の各種レプリカも展示され、こうした鞍や乗馬服には個人の社会的地位や結婚式といった機会に基づいてさまざまな種類が存在することが分かる。

また、馬用ビザやパスポートといった、馬用の旅行書類(フランス語と英語)の複製も展示されている。

サウジアラビアの統治者たちが馬を単なる動物としてでなく忠実なパートナーとして扱っていたことを反映する博物館だ。

3 – 伝統建築博物館:

この博物館では、第一次サウード国家における建築の発展の歴史、そして地元のユネスコ世界遺産サイトの保護という現在の役割に焦点を当てている。

館内には、建築物のレプリカの展示のほか、基礎作りや漆喰塗りから装飾に至る建築技術のすべてが紹介されている。

来館者は、サアド宮殿の壁の建設過程も学ぶことができる。内壁の厚さは40~60cm、外壁の厚さは120cmが普通だった。壁が天井の高さに達すると、出入り口、階段、天井が作られていった。

来館者はここで、監視用の小さな覗き穴が設けられた入り口や、戦いの際に狙いを定めたり避難するための銃眼付き城壁といった、建物のディテールを知ることでしょう。

また、昔ながらの日干しレンガ作りの工程や、泥の層が積み上げられて建物の基礎が出来上がる過程を、音声映像での展示や写真を通して紹介している。

また、インタラクティブな機能やゲームも多数用意され、これらを通して来館者は、伝統的な「ナジュドの扉」作りに挑戦すことができる。扉が作成されると、大型スクリーンに映し出される。

4 – 軍事博物館:

ディルイーヤは、地域最大級の銃器市場があった場所でもある。軍事博物館には、矢、銃、大砲、船など、第一次および第二次サウード王国時代に使用されたすべての武器のレプリカが展示されている。

また、外国製の鎧や盾のほか、イギリスやサウジアラビアの軍艦など、当時武器を積載していた船も各種展示されている。

小銃の展示もあり、前装式マスケット銃、後装式単発小銃、シャスポー銃、モーゼル銃、マルティニ・ヘンリー銃といったモデルが展示されている。

この博物館では、イブラヒム・パシャとオスマン帝国軍がディルイーヤに到達した1818年のいわゆる「ディルイーヤの戦い」についても詳しく紹介されている。

また、イマーム・アブドゥラー・ビン・サウードが監督したディルイーヤの要塞も展示されている。

5 – 生活様式博物館:

村の家々は簡素で、その土地の環境と繋がっていた。生活様式博物館では、アル・トライフ地区の中庭、寝室、キッチン、マジリス、ゲストルームなどを徒歩で見て回ることができる。

同博物館は、マジリスから始まる。モーションセンサーを利用した音の演出により、男たちの会話やお茶を注ぐ様子、伝統的な薪窯での料理の様子などの音が聞かれる。

また、伝統的なキッチンでは、当時使われていたレシピをデジタルギャラリーで見ることができる。

寝室は質素だが、備品の細部によって、居住者が地位や富を持っていたことが分かる。

季節によっては、暑さを避けるために涼しいオープンルーフの上で寝たり、日の出後は寝室に引きこもったりする家族も多かった。

博物館ツアーは、子供部屋で終わる。木や藁で作られた簡素なおもちゃが地面に散在する部屋で、スピーカーからは子どもたちの笑い声や歌声が流れてくる。

生活様式博物館では、当時のアル・トライフの生活様式が見事に再現されている。来館者は自分を過去の人々の立場に置いてみることができるため、王国がどうやって生まれたのかをより詳しく理解することができる。

ディルイーヤ: 過去、現在、そして未来
アラブニュース ディープダイブ特別版王国発祥の地へ
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