
ロンドン:障がい者がより簡単にゲームを楽しめるよう、大きなボタンを円形に、そして片側にジョイスティックを配置。ソニーは、このプレイステーション用コントローラーを12月から発売する。
業界が長年放置してきたと見られる問題に対して、近年、ライバル企業が同様の製品を市場に投入している。それにもかかわらず、このゲーム大手は、問題へ対処するようにとのプレッシャーを受けてきた。
感心した様子のゲーマー、ジェレミー・ルセーフ氏(別名Gyzmo)は、「健常者が使っていても驚かないでしょう」と述べた。彼は、ビデオゲームと障がいを専門とするフランス人男性である。ソニーは、従来のコントローラーデザインを覆す新しいデバイスのテストのために、車椅子に座ったルセーフ氏をロンドンに招待した。
ミオパチーを患っている彼は、障がいを持つゲーマーを支援するフランスの協会、HandiGamerのアンバサダーである。
ルセーフ氏によると、さまざまな障がいを持つ人々が利用し易いものになるよう開発されたため、この新しいコントローラーは「非常によく考え抜かれている」という。
39歳の彼はアクセシビリティ問題について、「業界が本当に思い切って行動しているのを見られてよかったです」と、猫になって楽しむ冒険型ビデオゲーム『Stray』で「Access コントローラー」を試しながら付け加えた。
「より多くの(ビデオゲーム)メーカーのゲームをプレイするようになっています」と彼は指摘した。
英国障がい平等慈善団体「Scope」の2021年の報告書によると、障がい者ゲーマーの3分の2がゲームのプレイ時に障壁にぶつかっており、40%は、アクセシビリティの低さのせいで使えなかったビデオゲームを購入したことがあるという。
しかし、この問題には現在、大手スタジオやゲーム販売会社、製造業者が照準を合わせているようだ。見たところ、倫理的および金銭的な議論の両方がそれを推進している。
「私はビデオゲームのおかげで、普通に近い生活を送り、社交することができるようになりました」とルセーフ氏はいう。
「非常にインクルーシブなツールで、世界に向けてあなたを開放してくれるのです」と彼は付け加えた。
アクセシビリティの問題を考慮することは「業界全体のトレンドで、プレイステーションに限った話ではありません」と、プレイステーションのシニア・テクニカルプログラム・マネージャーを務めるアルヴィン・ダニエル氏は説明した。
「プレイヤーがコントローラーに合わせるのではなく、コントローラーがプレイヤーに合わせるという形を目指しました。
「障がいとは、それぞれが異なる体験をするものです」と彼は付け加えた。
新しいデバイスは、テーブルの上に設置することも、スタンドに固定して好きな方向へ向けることもできる。
各ボタンは、マグネットキャップのおかげで形状を変えることができる。キャップは押したり掴んだりが簡単で、ユーザーはそこに任意の機能を割り当てることができる。
「私には少し大きかったです。ボタンは、やや硬くて押し難いものでしたが、外付けボタンを取り付けることができます。私にとっては良いオプションでした」と、ドイツ人ゲームプレイヤーのメラニー・アイラート氏は述べている。アクセシビリティのコンサルタントでもある彼女は、脊髄性筋萎縮症を患っている。
右手でしかプレイできないアイラート氏は、私物の色付きボタンを持参した。市場には、第三者メーカーが開発したアクセサリを多数見つけることができる。
それらはプレイヤーの障がいに合わせたもので、たとえば、口の動きや呼吸によって起動されることもある。
アイラート氏は、プレイステーションの新型コントローラーを競合と比較するのは時期尚早であるという。マイクロソフトはXbox用コントローラーを5年前に発売しており、同製品も、外付けデバイスの接続が可能である。
しかし、この種のデバイスの開発は彼女にとって不可欠だ。
「子供の頃はゲームしていたのに、その後約15年間はプレイできませんでした」と、障がいの発生に触れながら彼女は述べた。「ですから、またゲームできるようになるまで、ずいぶん長い間待ちました」
ソニーでは、コントローラーの開発プロジェクトは2018年に始まりました。しかし「与えられたのが白紙だったために」時間がかかりました、とダニエル氏はいう。
完成品にたどり着くまで、協会や専門家の助けを借り、3つの大陸でいくつかの異なるデザインを試した。
このコントローラーは、12月6日から発売となる予定だ。希望小売価格はヨーロッパで89.99ユーロ、米国で89.99ドルとなり、既存のクラシックモデルとほぼ同じ価格である。
AFP