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深刻な経済的ひっ迫に伴ってレバノンで抗議デモが勃発

レバノン南部のホウラ村の畑で小麦を集める農民。(ロイター)
レバノン南部のホウラ村の畑で小麦を集める農民。(ロイター)
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06 Jul 2022 06:07:03 GMT9
06 Jul 2022 06:07:03 GMT9

深刻な経済的ひっ迫に伴ってレバノンで抗議デモが勃発

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノン国民は再びベイルートやその他の都市部の街頭に立ち、生活環境の継続的な悪化に抗議しているが、彼らの怒りを一点に集約する公の全国規模の運動は起きていない。

火曜日、デモ隊はレバノン北部のトリポリにある携帯電話運営会社のオフィスを閉鎖し、料金の上昇に抗議する形で従業員にオフィスからの退去を求めた。

トリポリでは、何千世帯もの住民が基本的な生活必需品を手に入れることができず、懸念が高まっている。

治安に関する報告によると、夜間の犯罪が増加して繁華街での無差別発砲事件も発生している。トリポリでは大多数の人々が料金を負担できないために自家発電機の契約を止め、事実上24時間365日暗闇の中で生活しており、こうしたことから恐怖が増幅されているとしている。

多くのレバノン人は、バンドルがドル建てで販売されるようになってから、もうひとつの基本サービスであるインターネットの利用もあきらめている。ジョニー・コーム臨時通信相は次のように述べた:「新しい携帯電話料金は、以前の請求額を3で割り、中央銀行のセイラファ為替レート(25,300LBP/USD)を掛けるか、オジェロサービスの場合は2.5を掛けて算出される。」

コーム氏は、「確かに、多くの人が携帯電話の使用を完全に止めると思われるが、正確な数字を出すには時期尚早だ。7月初旬から消費量は今のところ8%減少している。」と付け加えた。

デモ隊は、3週間に渡って公共の水道網にアクセスできなくなったことを抗議するとともに、生産工場の停止により各地が定期的に停電していることを嘆き、ベイルート市内の道路を封鎖した。

バグダッドが自国の電力分野の苦境と戦う中でイラクからの燃料が予想以上に不足している状況において、たった1つの発電所、デイルアマル発電所のみが操業を続けている。

経済省はレバノンの消費量を満たすのに十分な小麦粉があると発表したが、できるだけ多くの来客にパンを提供しようと、一人当たり1斤のみの販売となっているパン屋に市民が列をなしているのが現状だ。

一方、中央銀行が小麦輸入のための債権をまだ解放していないため、イード・アル・アドハーの後に小麦が入手できなくなることを懸念して、闇市場でパンを売る者も出てきている。

ワエル・アブ・ファウル議員は、「治安当局によると、組織化されたギャングが助成付きの小麦粉を盗み、闇市で売っている」と報告した。

7月1日に発表された世界銀行の所得水準別国別分類によると、レバノンは低中所得国に位置づけられるようになったことが示された。

「レバノンの1人当たり実質GDPは11年連続で減少し、為替レートも急激に下落した 」と報告書にあり、2021年の1人当たり国民総所得は2020年の5,510ドルから3,450ドルになったとしている。

一般労働組合、変革勢力グループ、民間部門、市民社会団体の代表らは火曜日「政府による飢餓および屈辱の政策、ならびにレバノン国民の意図的な殺戮を通じた物価引き上げのための些末な決断、そして長年にわたって横行してきた汚職の資金調達を終わらせるための行動機構」について議論した。

同氏らは「特に通信や インターネットの値上げは、腐敗したシステムとそのグループに資金を供給し続け、市民を窒息させるための意図的な略奪であるとして、断固拒否する」ことに全会一致で合意した。

さらに、レバノン国民に対し、最も基本的な権利である電気通信サービスとインターネットを回復するための今後の活動に参加する準備をしておくよう呼びかけた。

レバノンの経済悪化が進み、政治家たちが国際通貨基金(IMF)の要請する改革を承認する政権を樹立できない中、5月15日に行われたレバノン議会選挙を監視したEUの選挙監視団は、選挙の実施方法に関していくつかの点で酷評する報告書を発表した。

EU団の代表であるジョルジ・ホルヴェニ氏は、ベイルートでの記者会見で次のように述べた:「今回の調査の最終報告では、限られた資金と人的資源によってその準備に影響が出たものの、選挙当局は5月15日に予定通りの時間で議会選挙を実施した。しかし、この選挙では、票買収やクライアント主義が蔓延し、公平な競争条件が歪められ、有権者の選択に深刻な影響を及ぼした。」

同調査団は報告書の中で次のように指摘した:「選挙運動は活気に満ちていたが(ソーシャルメディアを含む)、さまざまな脅迫や選挙妨害の事例によって害された。また、選挙資金に関する法的枠組みは、透明性と説明責任が著しく欠落している」。

この調査には今後の選挙制度の改善に向けた一連の推奨事項が含まれている。「これらの提案は、レバノン主導の段階的な改革過程のための枠組みを作るものである」と、ホルヴェニ氏は強調して次のように付け加えた:「必要かつ実現可能で、有益であると判断される限り、レバノンが将来の選挙プロセスを改善するためにこれらの提案を実施することを、EUは支援する用意がある」。

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