

リヤド:歴史的、文化的遺産に恵まれたディルイーヤは、旅行者や歴史好きの想像力と好奇心をくすぐる。
ディルイーヤの歴史地区アル・トライフはリヤドの北西に位置し、UNESCO世界遺産に指定されている。ディルイーヤは第一次サウード王国の建国の地としてきわめて重要な場所だ。
物語や伝説に満ちたディルイーヤでは、優れた保存状態の史跡や見事な建造物を通して、過去を垣間見ることができる。
エジプトからの観光客サラ・ハメドさんは、ある冬の夜にディルイーヤとアル・トライフ地区を訪れた。
彼女はアラブニュースの取材に対し、「サウジアラビアはここから始まったのだと知りました。国の歴史をさかのぼって旅を始めることができる、すばらしい場所ですね」と語った。
「わたしはファッションに興味があるので、伝統的な上着を展示しているセクションにとくに惹かれました。イマーム・ムハンマド・イブン・サウードのような著名人が所有していた史料や日用品を展示する洗練された博物館にも、とても満足しました」
現在進行中の再活性化の取り組みを通じて、ディルイーヤはサウジアラビアの伝統とイノベーションの結晶を発信する、文化と観光のハブへと発展しつつある。
トルコから来たエユップ・ユルトセヴァンさんは、「ディルイーヤでは、すべての街角から歴史のささやきが聞こえます。伝統的家屋の間を抜ける石畳の通りには、淹れたてのコーヒーをすすりながら友人どうしで談笑する人々の記憶がこだましています。わたしにとって、ここは単なる場所ではなく、魂への癒しなのです」と語った。
「ストレスで日常に嫌気が差した時、わたしはディルイーヤに救いを求めます。ヤシの木が優しく揺れ、日陰をつくりつつ、風に秘密をささやきます。新鮮な空気が悩みを洗い流し、今ここにいられるという安息に満たされます」
「秘められた魔法が解き放たれるのが待ち遠しいですが、ここはすでに、わたしが心から永遠に愛しつづける安息の地なのです」
ジェッダ在住のケンダ・ナビールさんが初めてディルイーヤを訪れた時、彼女は博物館に導入されたテクノロジーと、それにより開かれる現在から過去への扉に魅了された。
「すべての体験がすばらしく、またシンプルでした。サルワ宮殿のツアーに参加しましたが、ここは王国の歴史のなかで重要な時代を物語る史跡であり、第一次サウード王国の黎明期を垣間見ることができます」と、彼女は言う。
「何もかもがとても使いやすく、楽しみながら歴史を学びました。とりわけ、プロジェクターを使った動画など、型破りなテクノロジーを利用して情報を伝えるというやり方が魅力的でした。歴史と現代の両方を体験できる、リヤドで一番おすすめの名所です」
ディルイーヤには、伝統建築博物館、軍事博物館、宝物博物館(ベイト・アル・マール)、馬博物館など複数の博物館がある。
伝統建築博物館では、建築における粘土利用の歴史を描いた壁画や、ナジュド地方の建築や建造物の歴史、さまざまな建築様式や手順に関する展示を鑑賞できる。
第一次サウード王国時代のディルイーヤで起こった戦闘や防衛の史実は、軍事博物館で学ぶことができる。軍事博物館の日干しレンガの建物には、戦闘の武器やその他の装備品が展示されている。
トゥナヤン・ビン・サウード宮殿の北広場にある、伝統的な剣舞であるアルダの楽隊本部も、博物館の一部となっている。
第一次サウード王国時代の日干しレンガの伝統建築の一部は現在、宿泊先として借りることができ、ゲストはディルイーヤの複雑な歴史を肌で感じるだろう。社会生活博物館では、当時の共同体生活の機微に思いを馳せることができる。
アラビア馬はこの地域で重要な文化的価値をもっており、第一次サウード王国におけるアラビア馬の歴史を展示する博物館では、血統情報、起源、古の騎士たちの装備を見ることができる。
ディルイーヤ訪問のベストシーズンは10月から3月までの冬で、この季節は夏の暑さを避けることができる。だが、ディルイーヤではどの月にもイベントやアトラクションが目白押しで、季節を問わない一大観光地となりつつある。