
ロンドン:サウジアラビア映画が、カンヌ国際映画祭の公式映画として初めて出品された。
サウジアラビア初出品となる「Norah」は、全編アル・ウラーで撮影され、タウウィック・アル・ザイディ監督がメガホンを取った、保守主義が支配し、絵画を含むあらゆる芸術の追求が禁止されていた1990年代のサウジアラビアを舞台にした作品。
この作品は、ヤクーブ・アル・ファルハン氏演じる、落ちぶれた芸術家ネーダーが学校の教師となり、マリア・バラウィ氏演じる主人公の少女が、抑圧的な田舎町で芸術の実現を手助けする物語である。
この映画は、12月にジェッダで開催された紅海映画祭でプレミア上映され、フランス映画祭の権威ある「ある視点」部門に出品される。この部門は、新しい才能や型にはまらない物語を評価するもので、有名な「パルムドール」部門と併催されている。
「Norah」は、世界各国から集まった他の19作品とともに、カンヌ国際映画祭に出品される。
プレミア上映前の昨年11月、アラブニュースのインタビューに応じたアル・ザイディ監督は、この作品が、夢を決して絶やさないよう、後世の人々を鼓舞することを願っていると語った。
「ひとつのメッセージを伝えようとする映画ではないと思います。芸術は主観的なものですからね。だけど、次の世代の観客がこの映画を観たとき、ひとつのことを思い出してほしい。自分を信じてください。そして、できることなら、そのために戦うことを決して止めないでほしいです」と同監督は語った。
バラウィ氏はアル・ザイディ氏の気持ちを代弁し、この映画でノーラを演じたことで、何事にも邪魔されず、自分の可能性を信じる為のインスピレーションを得られたと語った。
「(ノーラは)自分自身であること、自分の精神に忠実であること、どんな困難があっても立ち上がることを教えてくれました。現在、そしてこれからの人生、誰にも助けてもらえなかったら、自分で自分を支えます。成功をつかみたいし、どんな困難にも立ち向かいます」と彼女はアラブニュースのインタビューに答えた。
サウジアラビアは、2017年に35年間の映画禁止令を解除し、2018年に初めてカンヌ国際映画祭に代表団を派遣して以来、カンヌ国際映画祭と強固な関係を築くなど、急成長する映画シーンが存在感を増している。
2024年の映画祭は5月14日から5月25日まで開催される。