マナール・エルバス

ドバイ：膨大なコレクションに投資するにしても、同じ趣味を持つ仲間と無害なトレーディングを楽しむにしても、ここ数年、さまざまなアニメ番組のカード収集が盛んになっている。この趣味は、日本ほどGCC諸国では一般的ではないが、UAEを拠点とする企業「Nostalgia Vault（ノスタルジア・ボールト）」は、この地域でもこれらのカードが入手しやすくなり、顧客が好きなアニメのフィギュアを手に入れられるよう支援することを目指している。

「トレーディングカードは単なる趣味以上のものです。特にポケモンカードに関しては、強烈なノスタルジックな思い出を呼び起こします」と、ノスタルジア・ボールトの創設者であるモアザ・アル・シャリフ氏はアラブニュース・ジャパンに語った。

アル・シャリフ氏は2023年にノスタルジア・ボールトを設立した。人々が子供時代とのつながりを取り戻す手助けをしたいという思いから、このビジネスを始めたと語った。彼女は、GCCの多くの子供たちと同様に、アラビア語吹き替えのアニメを見て育った。それが、彼女がビジネスを始める主なインスピレーションの1つとなった。

「この地域では、多くの人にとって、日本のアニメは子供時代の重要な一部となっていると思います。私もその一人です。子供の頃、キャプテン翼、ドラえもん、タイガーマスク、一休さんといった象徴的な番組に夢中になりました。それらの番組は、楽しませてくれただけでなく、私の日本文化への愛情を育んでくれました」と彼女は語った。

創業者は幼少期にポケモンカードを集め始めたが、コレクションをすべて失ってしまった。2018年に再び情熱に火がついた。彼女はアラブニュース・ジャパンに、大切なコレクションのひとつに、菱川師宣の絵画「見返り美人図」にピカチュウのカードをあしらった、日本郵便とのポケモンコラボレーションがあることを語った。

ただのカードとはいえ、ポケモンカードの中には数百万円で取引されるものもあるため、収集は高価な趣味となり得る。アル・シャリフ氏によると、価格はカードの入手可能性、発売年、状態、特別版かパック内のカードかによって異なる。通常の投資と同様に、特定のカードは年々価値が上昇する。

「手に入れたその日に10AED（405円）の価値もないカードでも、レア度や需要と供給のバランスがすべて揃えば、長年かけて価値が上がる可能性がある」と、創業者は語った。

ウェブサイトに掲載されている最も高価なカードの1つは、約100万円のピカチュウカードで、現在は完売している。

「このカードは、日本のゲームおよびアニメ市場における2つのパイオニア、任天堂とポケモンのコラボレーションによるものです。2016年に発売されたスーパーマリオの衣装を着たピカチュウのカードで、入手はかなり困難です」とアル・シャリフ氏は語った。

さらに、アル・シャリフ氏によると、UAEでは収集家コミュニティが徐々に拡大しており、多くの初心者たちが新しい趣味に夢中になっているという。

「UAEの収集家コミュニティはまだ初期段階にあるが、顕著な変化が起こっている。収集家の数は大幅に増加しており、収集の喜びと価値に気づく人が増えるにつれ、この成長は近い将来急速に加速するだろう」という。

「新しいコレクターは用心して、特に地域内および世界中のさまざまなウェブサイト上で、偽物を定価で販売しようとする欲深い売り手の罠にはまらないようにすべきです。偽物を見分ける方法を理解し、購入する品がすべて本物であることを確認することが不可欠です。そうすれば、コレクションに感傷的な価値と現実的な価値の両方が備わるでしょう」と彼女は付け加えた。

このビジネスはカード以外にも、キアヌ・リーブスなど、この地域にはめったに来ない俳優のサイン入りファンコ・ポップの販売にも拡大している。

「コレクターがファンコ・ポップに俳優や声優のサインと認証を簡単に手に入れられるようにしたかったのです。当社が提供するすべてのサイン入り商品は、信頼性で定評のある米国の専門企業によって認証されています」とアル・シャリフ氏はアラブニュース・ジャパンに語った。

このビジネスでは、GCC地域全域への配送を行っている。また、ウェブサイトではTabbyを通じて、購入代金を4回に分けて支払うことも可能となっている。

「現在の目標は、UAEで成長を続けるコレクターたちのコミュニティのニーズに応えると同時に、収集の世界について彼らに教え、どこから始めればよいかを理解してもらうことです。私たちは、初心者もベテランのコレクターも、その道のりを導くことに情熱を注いでいます」と、この創業者は語った。

「Nostalgia Vault」の全商品は、同社のウェブサイトから購入できる。