
ドバイ:砂漠のど真ん中に未来都市を建設するのに、アートは何の関係があるのだろうか?サウジアラビアの5000億ドル巨大プロジェクト、NEOMのエンターテインメント・文化部門責任者であるマイケル・リンチ氏によれば、アートは重要な役割を担っているという。
「地域づくりには、アーティストも一緒に取り組む必要がある」とリンチ氏はアラブニュースに語った。「私たちは、未来志向の国の中で、未来の地域について話しているのです。コミュニティを機能させるためには、アーティストが不可欠な要素であり、地域を機能させるためには、アーティストが様々な形で、様々なことに取り組むことが、人々の生活の質や経験の質を高めるために非常に重要なのです」
NEOMが芸術と文化に重点を置いていることを証明するように、NEOMは9月に3ヶ月にわたるアーティスト・イン・レジデンス・プログラムを開始した。ビラル・アラフ、アハード・アラムーディ、アブドゥルモセン・アルビナリ、アイマン・ゼダーニの4人のサウジアラビア人アーティストが参加し、4人の国際的アーティストが加わった: スペインのエドゥアルド・カッシーナ、レバノンのタマラ・カロ、イタリアのジュリア・ブルーノ、ラトビアのリヴァ・ドゥダレヴァだ。
「レジデンスでは、各アーティストとNEOMの8つの異なるセクターの仲間をペアにしました」とリンチ氏は説明した。「バイオテクノロジー、ロボット、デザインなど、各アーティストには、主にエンジニアリングの分野から、あるいはまったく異なるバックグラウンドの人がいました。彼らは誰もアーティストではなかったのですが、皆若く、NEOMの文脈の中でアーティストがどのように働くかというアイデアに興味を持っていました」
NEOMの 「仲間 」たちは、アーティストたちがこの地域をよりよく理解するためのガイド役となる。
「この期間の終わりに制作されたアート作品は、全く異なる作品でしたが、コミュニティ内、未来の地域内、NEOMそのものを出発点として、アーティストの役割を理解するための本当に素晴らしい方法を提供してくれたと思う」とリンチ氏は語った。
NEOMの文化部門は、ドバイを拠点とするAlserkal Advisoryと協力してレジデンスを開発した。第1段階では、アーティストたちがNEOMを訪れ、この地域とその風景、そして来るべき未来都市について学んだ。第2段階では、アーティストたちはマドリッドのティッセン・ボルネミッサ・アート・コンテンポラリーで、NEOMでの滞在からインスピレーションを得たアイデアに取り組んだ。その後、作品は11月下旬にNEOMで短期間展示され、NEOMのスタッフを対象としたアーティストによるレクチャーも行われた。
リンチ氏は、NEOMに建設が予定されているリニア・スマート・シティのことを指し、「このレジデンスは、私たちにとって最初のステップであり、その後、地域全体の会場や、最終的にはザ・ラインのような大規模な会場で、一定期間にわたってこの活動を繰り返すことができればと考えています」と付け加えた。
作品の中で目を引いたのは、建築と社会学の世界をミックスしたカッシーナの作品だ。「A Blanket for Dreaming(夢見るための毛布)」で作家は、長さ約8.4メートル、高さ約2.1メートルのタペストリー地図に、数千年にわたるNEOMの歴史を表現した。この地図は、ナバテア時代から現代までのこの地域の歴史を物語るもので、カッシーナがマドリードで見つけた1990年代に作られた日本の自動編み機を 「ハック 」して作られた。
「この作品が展示された頃にNEOMを訪れた人たちが、すぐに購入したいと言ってきたんです」とリンチ氏は語った。
一方、パフォーマンス・アーティストのアラフは、Neomのエンジニアの一人がプログラミングしたダンス・ロボットを使った作品を発表し、ダンス、アート、ロボット工学の世界がどのように交わるかを示した。
リンチ氏は、「Neomが世界中の展覧会でその建築計画を紹介できるようになったのと同じように、Neomの文化部門も今後2、3年でアーティスト・イン・レジデンスのスキームを再現し、作品のいくつかが建物のコレクションになる可能性があることを望んでいる」と強調した。
リンチ氏は、このレジデンスは関係者全員の期待を上回るものだったと語った。
「アーティストたちにとって、NEOMの26,500平方キロメートルの複雑さを理解することは本当に重要だったと思う。それは、彼らが現地を旅し、現場を見、何が起きているのかを理解し、それに対応することができるということです。そして願わくば、私たちが一歩一歩前進していく中で、そうしたつながりを持ち続けたいものです」