

ドバイ:この夏、トーキョー・アーツ・アンド・スペース本郷(TOKAS)は、アメリカ人アーティストで研究者のクリストファー・ジョシュア・ベントンによる映像インスタレーションと個展「From Toba with Love」を開催する。
このプロジェクトは、アラビア湾の真珠海女と日本の海女との驚くべきつながりを探求するものである。
ベントンはAIツールを使って古い写真に命を吹き込み、欠けている歴史の断片を埋めることで、2つの沿岸文化のつながりに光を当てた。
ベントンは数ヶ月間、日本の三重県に滞在し、地元の歴史家や引退した海女と仕事をした。ウェットスーツを着て、彼らの話を聞き、漁師町を走る。
また、彼の故郷であるアラブ首長国連邦のラス・アル・カイマにも再訪し、湾岸地域の真珠ダイビングの過去を探った。
その成果が、3部構成の映画シリーズである:『 Lover’s Shell』、『The Copper Stranger』、『From Toba with Love』である。
このシリーズは、アフリカ生まれの湾岸ダイバー、マブルックと日本人の海女、パルの架空の物語であり、2人の間の不可能なロマンスを描いている。
古い絵葉書、個人的な写真、日本とノースウェスタン大学の植民地時代のアーカイブをブレンドし、AIを使って再構築した作品である。
インスタレーション自体は、伝統的な海女小屋にインスパイアされた黒漆塗りの建物の中で上映される。来場者は、フィルム、サウンド、記憶に囲まれて輪になって座る。
ベントンは自身の手法を「パスト・メイキング」と呼んでいるが、これはストーリーテリングと歴史的リサーチを融合させたもので、事実とフィクションの境界線を曖昧にし、公式記録から取り残された物語に声を与えるものである。
ベントンの作品は、パブリック・アート・アブダビ・ビエンナーレやジャミール・アーツ・センターなど、中東各地の文化施設で展示されている。彼はサラマ・ビント・ハムダン・アル・ナヒヤーン財団の支援を受け、マサチューセッツ工科大学で芸術・文化・テクノロジーの修士号を取得した。