
Rawaa Talass
ドバイ: クリスマスツリーの飾りで、最も珍しいタイプのオーナメントとしてよくあるのは、エッフェル塔やビッグベン、自由の女神など世界的に有名なモニュメントの形だ。しかし、あるレバノン建築家が地域色のあるオーナメントを製作した。色が施されたメタル製の、ベイルートの路地に並ぶ伝統的な建物の形をしたオーナメントだ。
大学教授であり建造物修築の専門家でもあるRamzi Abu Fadel氏は、長年、レバノンの多文化的な建物の風景に情熱を注いできた。アラブニュースに対し、同氏は「どの国にもそれぞれの遺産がある。ベイルートは、建築物が特別だ。地中海沿岸に位置し、貿易が盛んなため、ベイルートはイスラム諸国やヨーロッパなど、あらゆる近隣の文化に影響を受けてきた。順応することで、発展している。」
Ramzi Abu Fadel氏がベイルートの建築物から影響を受け製作したツリーオーナメント。(提供写真)
8月4日の悲惨な爆発事故の直後、何千もの建物が深刻な被害を受けた。ユネスコによると、その中には、脆弱な状態にある600以上の歴史的建造物があると言う。「私たちは皆、心を痛めた。でも泣いてはいられない。」とAbu Fadel氏は言う。「自分が一番詳しいことを、役立てたいと思った。」
特に深刻なダメージを受けた、ジェマイゼやマル・ミカエル地区の建築物から着想を得、同氏はまず、精巧なキャンドルハウスの並びを製作した。イタリアを起源とし、レバノン建築の象徴として重要な要素である三組アーチの窓が特徴だ。
このプロジェクトの利益は、1860年〜1930年に建築され、損傷を受けた建物の修復を行っている、ベイルート・ヘリテージ・イニシアチブに直接送られた。
Abu Fadel氏によると、このオーナメントは人気を博し、これまで2000個が販売されたという。(提供写真)
クリスマスに向け、Abu Fadel氏は現地で、障害を持つ人たちによって仕上げられた、赤と白の色をした彫刻のオーナメントの製作を始めた。「レバノンにとっては悲しいクリスマスとなる。だからころ、このオーナメントをツリーに飾ることで、人々がベイルートへの愛を表現できるのではないかと考えた。」
Abu Fadel氏によると、人気でこれまで2000個が販売されたという。収益は再び、Abu Fadel 氏の取り組みに役立てられることとなる。
「人々は、このオーナメントを気に入り、また同時に、ベイルートの復興に貢献していることを喜んでいる。」と彼は言った。