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新境地を開拓するサウジアラビア初の哲学論文誌

The Saudi Journal of Philosophical Studies (SJPS、哲学研究のサウジ論文誌)は、2年前に創立されたManaという文化的プラットフォームにより発足した。(提供)
The Saudi Journal of Philosophical Studies (SJPS、哲学研究のサウジ論文誌)は、2年前に創立されたManaという文化的プラットフォームにより発足した。(提供)
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14 Apr 2021 05:04:07 GMT9
14 Apr 2021 05:04:07 GMT9
  • 初版では具体的にはドイツと米国といった、アラブ諸国外の哲学者達が貢献した

Mohammed Al-Kinani 

ジッダ:サウジアラビア初の哲学論文誌が出版され、編集長は国が「明白な哲学的ルネッサンス」を目の当たりにしていると述べている。

The Saudi Journal of Philosophical Studies (SJPS、哲学研究のサウジ論文誌)は、2年前に創立されたManaという文化的プラットフォームにより発足した。

編集長のSarah Al-Rajhi氏によれば、この論文誌の主な目的は王国やアラブ諸国、そして西洋の研究者達が、経済的な費用をかけずに正確な科学的基準に沿って研究を発表できるようにすることであった。

「どの文化においても、哲学は知識の立ち位置を示します、」と彼女がアラブニュースに言った。「現在サウジアラビアが査読有りの学術的哲学論文誌の立ち上げで最高潮に達したであろう、明白な哲学的ルネッサンスを目の当たりにしている事は周知の事実です。Manaでは、研究者達を哲学的な執筆において訓練し、この点においてある種の蓄積を成していく事を目指しています。これをオンライン上のプラットフォームで行い、査読有りのジャーナルでより体系的に行います」

SJPS諮問委員会にはアラブ諸国と西洋国からなる12人の一流思想家と哲学者達が名を連ねており、各メンバーが思想の学派や姿勢を代表しているため、この人数が適切であると彼女は述べた。

学者達は詳細な基準に基づいて選択された。その中でも彼らの研究、科学研究団体による認知、「豊富な哲学分野の著作」、そして地理的分散が最も重要であった。

諮問委員会にはサウジアラビア、米国、豪州、イギリス、セネガル、エジプト、チュニジア、リビア、そしてアルジェリアのメンバーが含まれる。

Al-Rajhi氏は創立以来、SJPSが多くの国々から異なる言語で書かれた、膨大な数の論文を受け取ったと述べた。

「この論文誌には大変有能な査読者達がついているので、親しい査読者達にこれらの論文を評価してもらいました。論文が出版基準に満たなかった一部の研究者達にはお詫びし、論文内の不備に対処して成長できるよう、重要事項や指示を含む査読者からの報告書をお渡ししました」

初版では具体的にはドイツと米国といった、アラブ諸国外の哲学者達が貢献した。

SJPSの初版はサウジアラビアの文化大臣であるバドル・ビン・アブドゥラ・ビン・ムハンマド・ビン・ファルハン王子を含む、一流の文化人や団体から称賛された。彼は同誌を告知し、「サウジの哲学的コンテンツの充実に向けて、なんて素晴らしい一歩でしょう」と付け加えた。

サウジの哲学的コンテンツの充実に向けて、なんて素晴らしい一歩でしょう。サウジアラビアの文化大臣であるバドル・ビン・アブドゥラ・ビン・ムハンマド・ビン・ファルハン王子

Al-Rajhi氏はそれに対し、サウジアラビアの文化コミュニティーが同庁から受けた支援に感謝の意を表した。

「サウジアラビア内での学問と文化運動に対する貴殿の継続的な激励と支援による、更なる一歩が未来をより明るくします」と彼女は返信した。

Manaのプラットフォームの読者達は論文誌の記事の一部に自由にアクセスでき、同誌はサウジアラビアとアラブの大学にも送られると彼女は述べた。

Manaの共同創立者であるAl-Rajhi氏は、論文誌は王国の哲学的運動の強化に貢献できるだろうとし、更に哲学分野においての学術的出版を推奨する事が、この活動における最大の成功であったと述べた。

「執筆における正確さと学術的基準に則った体系的な方法で哲学論文を書く事と、科学団体がその書かれた内容を読むという事は素晴らしく、構築し拡大しえる土台の始まりです。更にSJPSのその国際的な性質が、サウジアラビアの研究者達に世界中の学者仲間たちの研究発表について教えてくれます」

Al-Rajhi氏はSJPSがその他のアラブや世界的な査読付き論文誌とどう差別化されているかを説明した。ただ論文だけではなく、様々なコンテンツが掲載されている。

「このコンテンツには哲学を主題とした紹介文、ある哲学者についての紹介文、研究プロジェクトの概論、英語からアラビア語に翻訳された二つの貴重な文書、そして最後に、2020年上半期で世界有数の国際的出版社による発行物の統計分析が含まれています」

彼女はサウジアラビア内では誰にも無視できない明確な哲学的活動がおきており、それが国全般の文化活動の一部であったと述べ、この活動に「公的機関による支援が無ければ、結果がこのようには現れませんでした」と付け加えた。

サウジアラビアの哲学コミュニティー内で望まれている次の一歩は、国の大学でこの学科を独立した学問分野として教えることです、と彼女は言った。

「私達は哲学と学問の交点のようなものを作ろうと試みてきており、それがサウジアラビアの大学で初の哲学研究の学部の設立に向けた道のりを築く一歩となるだろう、という希望を持っています」

自由にアクセスできる記事の中にあるのは、シカゴ美術館附属美術大学で哲学教授を務めるアメリカ系レバノン人の哲学者、Raja Halwani氏の論文だ。

Halwani氏は「誠実さの美徳」の要約の中で、誠実さは余剰な美徳、または同氏が「余剰性の反論」と呼ぶものであるため、美徳ではないという強硬論があると記している。

大抵、誠実さは主体が圧力を受けている、もしくは価値観に背いた行動をとりたくなった時に試されると、同氏は述べている。善良な者とは、知恵を含む美徳を持ち、状況に応じていつでも適切に行動できた者のことである。

そしてカイロ大学芸術学部の哲学教授である、Mohamed Mohamed Madian氏による別の記事だ。

彼は著名な左翼アフリカ系アメリカ人思想家のコーネル・ウェスト氏について語っており、彼の文章ではウエスト氏の哲学の表現において、三段階に焦点を当てている。それらは予言的な実用主義、ウエスト氏の民主主義の概念、そして人種差別の問題だ。

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