
ラハフ·ジャンビ
リヤド:サウジアラビアのミュージシャンであるアブドゥラ·コジャは、アートセラピーを通じて人々の感情表現をサポートしたいと考えている。なぜなら、彼自身もアートセラピーによって自分の感情と向き合うことができたからだ。
「抑圧された感情を抱えていると、自分が蝕まれ、常に怒りを感じ続けることになってしまいます。しかしこれは、アートセラピーで簡単に軽くすることができます。なぜなら、感情は良い方向にも悪い方向にも使えるエネルギーだからです」。コジャはアラブニュースに対してそう話す。
子どもの頃に母親を亡くしたコジャは、きょうだいたちとの年の差から孤独を感じていた。
「自分の内に抑え込んでいた感情について、語る相手がいませんでした。ビデオゲームでそういった感情を押し殺そうとしたのですがうまくいきませんでした。私は怒りに満ちていました」
中学生の頃にピアノとギターを弾く楽しさを知ったコジャ。そのことで彼の気持ちは上向いた。
その後コジャはバンドに加入し、ギターを弾き始めた。彼とバンド仲間たちは多くのイベントに参加し、ジェッダの様々なレストランで演奏した。
「誰かに語りかけているような感じです」コジャは言う。「私は感情表現が下手だったので、そのエネルギーを音楽に込めました。その中でピアノとギターに最も情熱を注げることが見えてきました。落ち込んでいる時はピアノを弾き、怒っている時はギターを弾きます」
独学で音楽を学んだコジャは、学生時代一時期いじめを行っていたことも明かしたが、YouTubeで楽器の弾き方を学ぶことで自らを回復していったという。
「サウジアラビア政府は、音楽委員会の設立など芸術支援を強化しています。私はYouTubeからすべてを学んだので、若い頃にそういうものがあったらという気持ちもありますが、今では音楽を教える機関が数多く存在しています」
コジャは自分の感情的な混乱と向き合うために1カ月ほどセラピーに通ったこともあったが、自分の気持ちを語ることができなかったという。
セラピストは、コジャが無理せずできる音楽を通じて自己表現するようアドバイスを送った。その後コジャは、自分の気持ちを話せるようになった。
語られない感情は、鉢に木を植えることに似ているとコジャは言う。鉢が十分な大きさでなければ、根が複雑に絡み合っていってしまうのだと。
「私の鉢は大きくなく、感情を語ることもしなかったので、私の根はさらに複雑に絡んでいってしまいました。でも音楽をやっている時は、全てが大丈夫だと感じられたのです」
コジャは今、アートセラピストの資格取得を目指しているという。人々が音楽、ダンス、クリエイティブライティング、詩、動き、アートを通じてより建設的に感情と向き合い、彼らが経験しているネガティブさや鬱状態から抜け出すサポートをするためだ。