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日本のゲーム専門家ら、ジェッダ商工会議所本部で業界の動向を説明する

ジェッダ商工会議所で開催されたセミナーにおいて、東京工科大学メディア学部教授の三上浩司氏と日本のゲーム専門家がゲーム業界とそのチャンスについて説明した。(AN写真提供:アリ・クマージ)
ジェッダ商工会議所で開催されたセミナーにおいて、東京工科大学メディア学部教授の三上浩司氏と日本のゲーム専門家がゲーム業界とそのチャンスについて説明した。(AN写真提供:アリ・クマージ)
左から東京工科大学メディア学部教授の三上浩司氏、その右側にルーディムスの佐藤翔最高経営責任者、その隣にジェッダ商工会議所の観光文化委員会代表タミル・アルアブード氏。(AN写真提供:アリ・クマージ)
左から東京工科大学メディア学部教授の三上浩司氏、その右側にルーディムスの佐藤翔最高経営責任者、その隣にジェッダ商工会議所の観光文化委員会代表タミル・アルアブード氏。(AN写真提供:アリ・クマージ)
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03 Mar 2023 01:03:09 GMT9
03 Mar 2023 01:03:09 GMT9

ナダ・ハミード

ジェッダ: 1日 水曜日、ジェッダ商工会議所本部において、日本国領事館と中東協力センターの協力のもと、ゲーム業界における事業機会に関するセミナーが開催された。

セミナーには、日本国総領事の新村出氏、ジェッダ商工会議所観光文化委員会代表のタミル・アルアブード氏の他、ジェッダ商工会議所の要人らや大学生、メディア関係者や来賓らが参加した。

東京工科大学メディア学部教授の三上浩司氏と、ルーディムス代表取締役の佐藤翔氏が講演を行った。セミナーでは、日本のゲーム業界での2022年から2023年にかけての動向やゲーム業界の協会など、主に2つのテーマについて議論がなされた。

佐藤氏は、ASEAN、中東・北アフリカ地域、南米などのゲーム新興市場や産業の調査研究員として、10年以上、日本のゲームのプラットフォーマーやゲームソフト販売企業に最新情報を報告してきた。

佐藤氏は、ゲーム等の日本のコンテンツ産業と、海外のファンやクリエイター、投資家との架け橋となるべく、2020年にルーディムスを設立した。

佐藤氏は日本のゲーム市場について語り、GameAGEによる近年の研究では「2022年の日本のSteam市場規模は約3億4760万ドルで、カナダと同様の規模です」と述べた。

2022年のゲーム機およびパソコンゲームの売上順位を比較すると、日本ではポケモンが発売したポケットモンスター スカーレット・バイオレット、ドイツではエレクトロニック・アーツが発売したFIFA 23、米国ではアクティビジョン・ブリザードのコール オブ デューティ モダン・ウォーフェアIIが上位となった。

佐藤氏は2022年のSteam上位3タイトルの売上合計額の比較も紹介した。米国は38億ドル、ドイツは5億1300万ドル、日本は4億ドルであった。

また、今年1月の全世界のSteamユーザー数にも触れた。英語版の割合が36.87%と最も高く、日本語版は2.18%で8位であり、英語に対応したゲームの人気が他の言語よりも高いことが明らかになった。

佐藤氏は締めくくりとして、パソコンゲーム市場が比較的小さく、言語の壁があるにもかかわらず、日本のインディーゲーム市場は海外のゲーム開発者にとって急速に拡大していると説明した。

「日本ではファンや開発者、販売元、そしてメディアすら大部分は英語を読めませんから、市場参入のためにはローカライゼーションが不可欠な要素です」

「日本のゲーム会社にとっては日本市場が最優先であり、中東・北アフリカ市場は欧州の子会社(SIEEなど)や地域の商社に任せていました。しかし、ミスク財団や公的投資基金からの投資や新興国市場の拡大傾向により、彼らはサウジアラビア市場への関心を深めています」という。

Statista.comによると、2022年にサウジアラビアでフォローを最も集めたeスポーツゲームはFIFAで約38%、次いでコール・オブ・デューティーで約27%、エーペックス・レジェンズは13%で最下位であった。エーペックス・レジェンズは日本では2022年と2023年のいずれも、パソコンオンラインゲームの売上額3位となっている。

特筆すべきは、取引所の提出資料によると、サウジアラビアの政府系ファンドが2月に日本のゲーム開発会社である任天堂の株式を7.1%まで買い増していることである。

公的投資基金は2022年5月に任天堂の株式の5%を取得し、2023年1月には6.07%にまで増やしていた。これは、ゲーム産業の世界的中心地としての台頭を目指すサウジアラビアの目標であるビジョン2030に沿ったものだ。

任天堂は、ポケットモンスター、ゼルダの伝説、スーパーマリオなどの作品を有する、ゲーム産業における世界有数の著名企業である。

公的投資基金はまた、ネクソン、カプコム、コーエーテクモなどの有名なゲーム会社にも出資している。

サウジアラビアは世界のゲーム中心地になることを目指している。この目標達成に向けた最も重要な一歩となったのは、2022年9月、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がサビーゲームグループ(Savvy Games Group)戦略を立ち上げたことである。

ゲーム業界は投資と開発のチャンスに満ちているけれども、三上氏は講演で、ゲーム業界と学術界のコラボレーションが、ゲーム業界における多くの矛盾を解決し、健康や意識を高めるという形でもたらされる可能性があることを説明した。

「ゲーム業界は社会と良好な関係を築く必要があり、解決すべき問題が生じたら科学的知見に基づいて対応する必要があります。例えばゲーム障害という問題があり、電力消費の問題もあります。ですから、我々は社会から敵視されないように業界全体で意識する必要があります」と述べた。

2D・3Dアニメーションやゲーム・インタラクティブコンテンツの研究開発者である三上氏は、学術的な見地からアラブニュースに意見を述べ、サウジアラビアのゲーム産業の著しい成長について説明し、ゲーム開発産業の発展にはその国の文化を巻き込むことが重要であることを強調した。

「サウジアラビアの学生はゲームに大きな興味を持っており、ただ遊ぶだけでなく、ゲームの開発に対しても非常に熱心であるのを目の当たりにしました。彼らは自分達独自のゲームを開発することに対して非常に意欲的です。

サウジアラビアのゲームはほとんど中国や韓国のものですが、スマートフォンやゲーム機で遊ぶゲームは日本のものです。独自のゲームを見つけるにはどうすればよいか、または海外のゲームをどうやって輸入するかという点で協力がなされています。サウジアラビア型のゲームというものを本当に生み出したいのであれば、若いゲーム開発者が大きな役割を担っています」

サウジアラビア型のゲームを生み出すには、日本のゲームだけでなく、韓国、中国、ヨーロッパ、米国など、たくさんの種類のゲームを遊ぶことをお勧めします。もしかしたら、その経験が開発者のゲームに対する感覚を広げてくれるかもしれません。

私は、極めてサウジアラビア独自のゲームを開発したいと思っています。というのも、ゲームというのは多くの人に集中するメディアの一種であり、この場合、ゲームのテイストやコンセプト、表現のスタイルは文化によって異なるからです。

なのでサウジアラビアの文化がゲームの中に組み込まれているなら、私は遊びたくなります。なぜならすでに日本のゲームは体験しましたが、サウジアラビアのゲームというものは体験することができなかったからです。ですから、もしあなたが良いゲームを開発すれば試してみたいと思います。これは、映画や漫画、他の産業と同じことです。

自分の国の文化に集中すれば、もしかしたら他の文化をもつ他の人々も興味を持つかもしれません。ですから、これからは既存の日本のゲームをどう発展させるか、そしてサウジアラビアの開発者が非常に独自のゲームを作らないだろうか、というのが我々のコラボレーションになるでしょう」

三上氏は締めくくりに、ゲーム分野における最新の技術動向と将来予測が、ゲーム業界における産学連携や他業種との協力にとって重要であると説明した。

「社会がゲーム産業に対して前向きな印象を持ち、人材と技術を引き寄せる関係を実現することが重要です」

新村氏は最後の挨拶で、「日本はゲーム産業において最も進んだ国の一つであり、その経験をサウジアラビアと共有し、国民一般、特に若い人たちのために役立てる用意があります」と述べた。

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