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女性の職場進出がサウジアラビアの経済成長を支える

女性の労働市場への参加率の高まりの要因としては、教育機会の拡大や出生率の低下、文化的環境がより女性に開かれたものになってきたことなどが考えられる。(提供写真)
女性の労働市場への参加率の高まりの要因としては、教育機会の拡大や出生率の低下、文化的環境がより女性に開かれたものになってきたことなどが考えられる。(提供写真)
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23 Sep 2023 12:09:03 GMT9
23 Sep 2023 12:09:03 GMT9

アラブニュース

リヤド:サウジアラビア経済は、働く女性の増加による恩恵を受けることになりそうだ。S&Pグローバルが先ごろ出したレポートによれば、サウジアラビアでは女性の雇用拡大を目指す「ビジョン2030」の下、その経済効果の可能性が見え始めている。

このレポートでは、サウジアラビアにおける女性の雇用増加に大きな進歩が見られることが示された。全人的資本に占める女性の割合は2016年の19%から2022年には36%に達し、ビジョン2030で掲げられた目標(2030年までに30%)を上回った。

女性の職場進出の増加をもたらした要因はいくつか考えられる。教育機会の拡大や出生率の低下に加え、文化的環境がより女性に開かれたものになってきたこともその1つだ。

サウジアラビアでは進学率も向上している。25歳以上の女性のうち大学卒業以上の学歴を持つ人の割合は2017年には26%だったが、2020年には32%近くへと増加した。

女性の職場進出は、全体的な労働力率の増加の要因にもなっている。サウジアラビアの労働力率は2017年6月には54.2%(当時としては過去最高)だったが、2022年3月には61.7%で過去最高となっている。

S&Pグローバル・レイティングス・エコノミクスの推計によれば、労働力率の増加が今のペースのまま10年間続けば、サウジアラビアの経済規模は3.5%増の390億ドルに達する可能性がある。労働力率の増加ペースが2000〜2022年と同じだった場合についても試算と比較が行われた。

「われわれの試算では、今後10年間の労働生産性の向上率が過去20年間と同じだと仮定した場合、今後10年間に全体の労働力率が年1%増加するならば、サウジアラビアの実質GDP(国内総生産)の年成長率は平均0.3ppt高くなって2.4%(労働力率が上がらなかった場合は2.1%)になる」とS&Pグローバルはレポートで述べている。

女性の富がアラブ世界の経済を変える

一方で、ファースト・アブダビ銀行(FAB)とウェルスブリーフィングが発表した最新の研究レポートでは、女性の資産増加が中東・北アフリカ地域の経済を変容させているという。

「中東・北アフリカ地域の勝ち組女性たち:ウェルスマネジメントにより女性のさらなるエンパワーメントを支援するには」と題されたこのレポートでは、経済において女性が果たす役割が拡大している要因として、テクノロジーの進歩とベンチャー文化を挙げている。

レポートによれば中東では女性起業家が急増しており、新しく設立された企業のうち、3分の1は女性が創業者だ。この傾向は特にサウジアラビアで強いという。

またレポートによれば、女性はファミリービジネスの経営に長け、投資に際しても感情に左右されず多様性に富んだ決断をする例が多いという。

FABのマネージングディレクターを務めるサミラ・ザコウル氏はこう述べている。「過去20年間にわたり、私は中東・北アフリカ地域において数多くの女性が大規模な親族企業のトップに上り詰めた例を見てきた。女性はさまざまな意見に耳を傾けた末で資本を動かし、感情に動かされずに投資を行うことが多く、手にするリターンも多くなる可能性が高いことが多くの研究で指摘されている」

このレポートによれば、女性には一族の資産運用に新たな視点を持ち込む能力があるが、それは従来とは異なる物事への理解を元に新しいチャンスを見いだすからだという。また女性は、親族間の複雑な関係に対処する「ソフトな」能力も備えているという。

中東・北アフリカ地域において女性が高等教育を受ける割合が2019年に43%に達したことも、このレポートでは指摘された。これは世界平均(36%)や世界の男性の平均(40%)をも上回る数字だ。

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