
マラケシュ、モロッコ:世界貿易機関(WTO)のンゴジ・オコンジョ・イウェアラ事務局長は、イスラエルとハマスの紛争が早期に終結することを望むと述べ、もし中東全体に拡大すれば、すでに弱まっている世界的な貿易フローに「非常に大きな影響」を及ぼすと警告した。
今週モロッコで開催された国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会でオコンジョ・イウェアラ事務局長は、金利上昇、中国の不動産市場の緊張、ロシアのウクライナ侵攻などに加えて中東での紛争も、貿易成長を抑制する要因となる可能性があると指摘した。
「今回の紛争がすぐに終結し、抑え込まれることを願っています。我々の最大の懸念は、この紛争が拡大し、貿易に非常に大きな影響を及ぼすことです」と同氏はインタビューで述べた。「誰もが薄氷を踏む思いで、最善の結果を期待しています」
オコンジョ・イウェアラ事務局長は、不安定な世界情勢がすでに貿易の成長を抑えているが、イスラエルとガザ地区を支配するイスラム主義組織ハマスとの紛争が突然勃発したことでその状況はさらに悪化するだろうと述べた。
「これがさらに中東地域全体に広がっていくのかどうか見通しが立たず、そうなれば世界の経済成長に大きな影響を及ぼす可能性があります」と同氏は語った。「この不透明感を生み出す紛争が終結することを願っています。先行きへの新たな不安材料となっているからです」
ジュネーブに拠点を置くWTOは先週、持続的なインフレ、金利の上昇、中国経済の減速、ウクライナでの戦争を理由に、今年の世界の物品貿易の成長予測を半減させた。
WTOによると、2023年の物品貿易量増加率は、4月の推定1.7%と比較してわずか0.8%にとどまる見通しである。
また、2024年の物品貿易成長率は3.3%と、4月の推定3.2%からほぼ横ばいになると予想している。
164カ国が加盟しているWTOは、世界的な緊張に関連した貿易分断の兆候がいくらか見られるとの警告を繰り返したが、2024年の予測を脅かす可能性のある広範な脱グローバル化の証拠はない。
ロイター