ドバイ：サウジアラビア石油大手のアラムコはビッグデータおよび人工知能（AI）部門を強化し、自社の資産とリンクさせて、取引から買収までの意思決定を支援しながら利益最大化に活用していると最高経営幹部がロイターの取材に対して語った。

「70人が関連業務に従事しています。さらに増員中です」とアラムコの製品顧客担当VPのヤセル・ムフティ氏は述べた。

アラムコは同社の広範囲に及ぶ事業をよりよく反映し、市場の変化への迅速な対応に投資することを目指している。アラムコはさらに投資利益を強化すべく資産ごとのレビューを進行中だ。

アラムコは小売事業を展開するガス＆オイル・パキスタンへの今週の出資やアジアの石油精製所の買収のような、新たな取引案件の模索を続けている。

アラムコは中国の石油精製所への一連の投資を経て、現在、山東裕隆石化有限公司の株式取得を交渉中だ。また、ガス事業強化の一環として液化天然ガス会社のミッドオーシャン・エナジーを買収した。サウジアラムコ・ベースオイル・カンパニー（Luberef）の株式を上場したほか、他の株式の売り出しも計画していることが報じられている。

同プロジェクトに助言しているオリバー・ワイマンによれば、Global Optimizer（大域的最適化）のようなより洗練された営利モデルによって、従来のモデルと比較して1バレル当たり1.5ドル～2ドル増の利払い・税引き前利益（EBIT）に転換できる。

ムフティ氏は「当社は最適化、取引、リスク対応、不確実性への対処に向けた様々な機能を構築している」と指摘した上で、質の高い資産の獲得とビジネスに適したマインドセットによって「（オリバー・ワイマンによる）数値範囲は超えないまでも数字を押し上げる」ことができると述べた。

LSEGのデータによれば、アナリストはアラムコの2023年の純利益について、昨年の1611億ドルより少ない1219億ドルと予測している。北海ブレント原油の14日の取引価格は約74.85ドル。今年の平均価格は1バレル82.33ドルで、去年の平均価格は1バレル約99ドルだった。

「ここから利益を計上し預金するので、これがベースラインとなり、その後はその数値が期待されるようになります。課題は最高のEBITを今後確保し続けるにはどのようにすべきかということです」とムフティ氏は述べた。

Global Optimizerを通じた利益の増加に本格的に貢献できるのは「わずかな石油精製所」に限られ、他の精製所はまだ今後に期待する段階だとムフティ氏は指摘した。

また、株主へのリターンが増大するとともに、収益の増加はアラムコの合弁パートナーの利益ともなるとした。

アラムコの大規模な「M&A活動および小売業などの分野における成長は、機会を評価し捉え、価値を創出するという点で、システムの最適化が特に不可欠な重要性を持つことを意味しています」とオリバー・ワイマンのパートナーでインド・中東・アフリカの石油・ガス部門責任者のナディム・ハダッド氏は指摘している。

ロイター