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多様化するサウジアラビア経済、リヤドに注ぐ企業の熱視線

ムハンマド・ビン・サルマン王太子の指揮のもと、同国は原油以外の民間セクターを体系的に強化している。ビジネスフレンドリーな改革に後押しされ、首都リヤドはグローバルなビジネス拠点としての地位を着実に固めつつある。Shutterstock
ムハンマド・ビン・サルマン王太子の指揮のもと、同国は原油以外の民間セクターを体系的に強化している。ビジネスフレンドリーな改革に後押しされ、首都リヤドはグローバルなビジネス拠点としての地位を着実に固めつつある。Shutterstock
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01 Jan 2024 01:01:03 GMT9
01 Jan 2024 01:01:03 GMT9

ニルマル・ナラヤナン

リヤド:グローバルビジネスの世界で傑出した地位を確立すべく、サウジアラビアは地域本社プログラムを通じ、中東地域の活気ある中心として急成長をとげている。

投資省とリヤド市王立委員会が手を結んで進めるこのイニシアチブは、サウジアラビアに中東地域の拠点を設立する外国企業の法人税を30年間免除するというもので、2023年12月に発表された。

この政策により、180以上の外国企業がサウジアラビアでの本社設立の認可を取得し、2023年末までに160社の国際企業を誘致するという当初の目標を上回ったと、サウジアラビアのハーリド・アル・ファーレフ投資相は11月のインタビューで語った。

ブルームバーグのインタビューに応じたファーレフ投資相は、地域本社プログラムは長期的計画であると強調した。サウジアラビアは積極的に国際企業と協力し、国内に本社を設立するための「適切なエコシステム」の構築に取り組んでいる。

ヨーロッパと中東は現在多くの課題を抱えているものの、サウジアラビアの投資先としての魅力はますます人々に広く認知されるようになるだろうと、投資相は自信を示した。

彼はまた、こうした転換はすでに進行中であり、サウジアラビアはきわめて魅力的な投資先として地位を維持するだろうと語った。

長年にわたり原油に依存してきたサウジアラビア経済は、ビジョン2030の発足以来、驚異的な転換を進めている。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の指揮のもと、同国は原油以外の民間セクターを体系的に強化している。ビジネスフレンドリーな改革に後押しされ、首都リヤドはグローバルなビジネス拠点としての地位を着実に固めつつある。

これに伴い、業界を牽引するグローバル大企業がリヤドへの本社移転を進めている。ドイツのコンサルタント企業テュフ・ラインランド、ノルウェーのテクナル・グループ、グローバル不動産会社JLL、IHGホテルズ&リゾーツなどだ。

2023年にサウジアラビアに地域本社を設立した主要企業の例を、以下に紹介していこう。

テュフ・ラインランド

2023年11月、ドイツのコンサルタント企業テュフ・ラインランドはリヤドに地域本社を設立した。

設立に際し、テュフ・ラインランド・グループのCEOと取締役会チェアマンを兼任するミヒャエル・フュビ氏は、同社のサウジアラビアへの揺るぎないコミットメントを表明した。同氏はまた、新本社が同社の中東地域における成長と拡大を促すだろうと述べた。

「テュフ・ラインランド・アラビアのミッションおよび基本理念は、安全と品質の持続的向上により、人類、テクノロジー、環境の相互作用から生じる課題を解決することだ」と、フュビ氏は述べた。

タルジャマ

同じく11月、中東・北アフリカ地域におけるスマートランゲージサービスを牽引するタルジャマも、石油依存経済から多様なグローバルビジネス拠点への転換を進めるサウジアラビアの取り組みに呼応し、リヤドに本社を設立した。

タルジャマは、サウジアラビアへの本社移転について、中東地域のビジネス環境の成長と強化の触媒を目指す、同社のコミットメントの現れであるとしている。

「サウジアラビアが国際企業のハブとして活況を呈しつつあるなか、アラビア語に特化して開発された、わが社が特許をもつ革新的な言語ソリューションを導入できることを光栄に思う」と、タルジャマの創業者でCEOを務めるヌール・アル・ハッサン氏は述べた。

JLL

10月、グローバル不動産会社JLLは、リヤドのキング・アブドゥッラー金融地区に地域本社を設立し、サウジアラビアの不動産市場への強固なコミットメントを示した。

JLLのプレジデントとグローバルCEOを兼任するクリスチャン・ウルブリック氏は、ステークホルダーとの緊密な協働を通じ、同国と周辺地域での不動産ビジネスの業界標準を高めることを、同社の目標として掲げた。

IHGホテルズ&リゾーツ

旅行・観光セクターにおけるサウジアラビアの影響力の高まりを象徴する出来事として、ホスピタリティ業界の巨人であるIHGホテルズ&リゾーツが10月、リヤドに地域本社を設立した。

IHGは地域本社の設立に加え、同国内での大幅な事業拡大計画を発表し、中東地域への投資の50%をサウジアラビアに展開するとした。同社はサウジアラビアのサウジゼーション目標への協力を表明し、社員に占めるサウジ国籍者の人数を現在の1700人から、2030年までに6000人に増やすことを約束した。

GEヘルスケア

10月に開催されたグローバル・ヘルス・エキシビションで、米国に拠点を置くGEヘルスケアはリヤドに地域本社を設立することを発表した。なお、この決定の直前、GEヘルスケアは中東地域へのオンラインサービスショップの展開を開始している。

新本社は、サウジアラビアと周辺地域におけるヘルスケア需要の高まりに応えるための戦略的拠点と位置づけられている。

ベクテル

9月、米国に拠点を置き、エンジニアリング・素材調達・建設・プロジェクト管理を手掛けるベクテルは、サウジアラビアに地域本社を設立した。

同国での操業に1945年以来の歴史をもつベクテルは、ジュバイル、マーデン、NEOM、トロヘナ、リヤド・メトロ・プロジェクト、ニュー・ムラッバなど、いくつもの重要なプロジェクトに積極的に関わっている。

リヤドの新本社は、ベクテルのチームの拡大を支え、これらの主要プロジェクトの成功を確実にするようデザインされたものであると、同社はプレスリリースで述べた。

テクナル

7月、アルミニウム加工を専門とするノルウェーのグループ企業ノルスク・ハイドロの傘下のテクナルが、サウジアラビアに地域本社を設立した。

設立に際し、同社はサウジアラビアの建設セクターに低炭素技術を提供することへのコミットメントを表明した。

44年にわたりサウジアラビアで操業してきたテクナルは、カーボンフットプリントを抑えたアルミニウム素材を提供し、エネルギー効率に優れた高性能な窓、ドア、ファサードのためのソリューションを実現してきた。

新本社の設立とともに、テクナルは同国に拠点を置く建築会社、コンサルタント、請負会社、デベロッパーなどの顧客へのサービスのさらなる充実をめざす。

サウジアラビアは引き続き、地域本社の移転を進める国際企業にインセンティブや恩恵を提供しており、今後数カ月のうちにさらに多くの企業が同国に拠点を設立することが期待される。

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