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W杯、アラブ諸国の躍進への期待が高まる

サッカーワールドカップ・グループFのモロッコ対クロアチア戦で、観客席でスマートフォンを手に持つ観客たち。11月23日、アル・ホールのアル・バイト・スタジアム。(AP)
サッカーワールドカップ・グループFのモロッコ対クロアチア戦で、観客席でスマートフォンを手に持つ観客たち。11月23日、アル・ホールのアル・バイト・スタジアム。(AP)
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25 Nov 2022 04:11:18 GMT9
25 Nov 2022 04:11:18 GMT9
  • 開幕戦でのカタールの残念な敗北の後、サウジアラビア、チュニジア、モロッコは優れた結果を出した
  • サウジが残した結果は間違いなく同国のワールドカップ史上最大のものだ

ジョン・デュアーデン

ドバイ:辛いかもしれないが、2018年のワールドカップでのアラブ諸国の各第一試合を振り返ってみよう。

モスクワで行われた開幕戦で、サウジアラビアは開催国ロシアに0対5で大敗した。その後、チュニジアとモロッコのそれぞれの初戦が行われたが、どちらの敗北も負けず劣らず痛ましいものだった。

チュニジアはイングランドを相手に1対1で持ちこたえていたが、その後ロスタイムにハリー・ケインのゴールに敗れた。モロッコは95分のオウンゴールでイランに敗北した。どちらも持ちなおすことなく、グループの2試合だけで敗退した。

しかし、それから4年経った今、状況は大きく変わっている。

これからの各第ニ試合で何が起ころうと、アラブ4ヶ国のうち3ヶ国にはベスト16進出のチャンスがある。

20日の開幕戦でカタールがエクアドルに0対2で残念な敗北を期した後、他のアラブチームは輝いている。

カタールのイスマーイール・ムハンマドは、アジアカップ優勝国である同国はアラブのライバルたちの快挙に刺激を受けていると話した。

彼は24日に次のように語った。「ここまでの、特にアラブチームの成績を見て、私たちは少しの嫉妬と、彼らに負けないようにというやる気を感じている」

サウジアラビアに嫉妬を感じ、同じような経験をしたいと切望しているチームはカタールだけではない。グリーンファルコンズ(サウジアラビア代表チームの愛称)は、アルゼンチンに2対1の衝撃的な逆転勝利を収めて以来、世界のスポットライトを独占している。

試合自体に関しては既に多くが語られているが、サッカー界がリオネル・メッシそっちのけでサレム・アル・ドサリの話題で持ち切りというのは凄いことだ。

エルヴェ・ルナール監督による戦術マスタークラスあってのものだが、選手たちの努力、知力、献身がなければ上手くいかなかっただろう。彼らの勇猛果敢なプレーにはアルゼンチンの中でさえ称賛の声が上がった。

サウジの快挙がワールドカップ歴代の番狂わせの中でどのあたりにランクインするかについての議論が巻き起こっている。2002年に初出場のセネガルが初戦で前回優勝国のフランスに勝利した時以来最大の偉業であることは間違いない。1990年のイタリア大会でカメルーンが初戦で前回優勝国のアルゼンチンを下したことにさえ匹敵するかもしれない。

アラブ諸国に限定すれば、今回のサウジアラビアに唯一匹敵するのは、1982年に強豪西ドイツに2対1で勝利したアルジェリアだろう。

その年のドイツメディアのニュースの見出しを、今のアルゼンチンメディアはどことなくなぞっているようだ。自国のチームを嘲って勝者を称賛しているのだ。

サウジが残した結果は間違いなく同国のワールドカップ史上最大のものだ。1994年には決勝トーナメントに進出しモロッコとベルギーに勝利しているが、アルゼンチンは格が違う。

22日、チュニジアはデンマークと対戦した。デンマークは2020年の欧州選手権で準決勝に進出しイングランドに惜敗しており、今大会のダークホースと見る人もいる。

0対0で終わったが、楽しい試合だった。カルタゴの鷲(チュニジア代表チームの愛称)が勝ち点1を取ったのは当然の結果であり、デンマークのゴールキーパー、カスパー・シュマイケルの反応がなければ勝ち点3を取ってもおかしくなかっただろう。

試合の最初の1時間、エネルギーと積極性に溢れた彼らは多くの問題を起こした。

その後行われたモロッコの試合も0対0の引き分けだった。そしてやはり相手は欧州の強豪国だ。2018年準優勝のクロアチアと引き分けたことはアトラスの獅子(モロッコ代表チームの愛称)にとって手堅いスタートだ。両チームは互角だったようで、戦いは膠着していた。

これらの結果はサウジアラビアほどにはニュースの見出しを踊らせなかったが、重要なものだ。少なくとも、サウジアラビア、チュニジア、モロッコは2018年のような運命は避けることができるだろう。あの時は、敗退を知ったうえでグループ最終試合に臨んだのだ。3ヶ国は最後まで競争に加わっているだろう。ただ、今の野心は明らかにそれ以上だ。

アルゼンチンに勝利したサウジアラビアは今、ポーランドに注意を向けている。ポーランドは22日にメキシコとの熱気のない試合を0対0で引き分けている。サウジアラビアは第ニ試合で一試合を残してトーナメント進出を決めることも考えられる。もしそうなったら大偉業だが、22日の勝利の後となっては大きな衝撃ではないだろう。

チュニジアはオーストラリアと対戦する。両チームはともに相手をグループDで勝ち点を得る最大のチャンスと見ている。サッカルーズ(オーストラリア代表チームの愛称)は前回優勝国であり当然格上のフランスに1対4で敗れている。

最初の印象ではチュニジアが本命だ。勝利すればジャレル・カドリ監督率いるチームはトーナメント進出の可能性を高める。フランスがデンマークに勝てばその可能性はさらに高まる。

モロッコは27日にベルギーと対戦する。赤い悪魔(ベルギー代表チームの愛称)はカナダを1対0で下したが、印象的な試合には程遠かった。ベルギーはカナダの猛追に苦戦しており、ワリド・レグラギ監督率いるモロッコはチャンスを期待できるだろう。サウジアラビアのアルゼンチンに対する勝利は成し遂げられることの例を示している。

カタールは、25日にセネガルに負ければ2018年のアラブ3ヶ国と同じ運命が訪れる危険があることを心得ている。しかしアラブ地域全体としては、今大会は既にこれまでと全く異なるものとなっている。既に道を示したサウジアラビアが蘇ったアラブサッカー界を先導しているのだ。

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