Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

公開データセットの創設がカーボンニュートラルの基礎に、東大副学長が提言

   東京大学副学長の石井菜穂子氏。(スクリーンショット)
東京大学副学長の石井菜穂子氏。(スクリーンショット)
Short Url:
18 Jan 2024 03:01:04 GMT9
18 Jan 2024 03:01:04 GMT9

アラブニュース日本

ドバイ:東京大学副学長の石井菜穂子氏は、公的に利用可能なデータセットを創設することの重要性を強調し、それこそがカーボンニュートラルの実現の基礎となると、17日の世界経済フォーラムのセッションで語った。

石井氏は、データによれば世界は2021年までに実現するはずだった気温上昇1.5℃以内の目標を達成できない可能性があると指摘した。

「わたしたちが向かっている世界は、水が乏しく、生態系が劣化した場所になるでしょう。そのため、消費型農業の開発や推進は、不適応の顕著な事例になるおそれがあり、わたしは深く憂慮しています」と、石井氏は「気候適応のための新しいアプリ」と題したパネルディスカッションで語った。

彼女はまた、農業は巨大なリスクに直面しているが、科学者と人工知能は、未来に何が待ち受けるかを教え、気候変動への適応能力を授けることで農家を支援できると述べ、データセットのプログラミングの有用性を強調した。

(スクリーンショット)

「どんな作物を、どこで、いつ(栽培するのか)という戦略や計画を変更する必要に迫られる可能性があり、多大なコストがかかるでしょう」と、石井氏は述べた。

「質の高いデータセットがあれば、新しい戦略を考案し、リスク要因に備えることが可能になるだけでなく、ビジネスチャンスの観点からも有用なものになるでしょう」と、石井氏は主張した。

さらに石井副学長は、データセットを公開しオープンソースとすることが、コミュニティ支援のために不可欠だと訴えた。「わたしたちは公的データのインフラづくりの時代に入っています」と、彼女は述べ、「オープンソースで、安価で、相互運用性が高く、高品質でなくてはなりません」とした。

石井氏の見解によれば、データインフラは全世界に適用可能な単一の汎用モデルであってはならない。むしろ、各国の季節ごとの状況に合わせた相互に関連するシステムとすることが重要だという。

「公的に入手可能なデータの創設こそが、カーボンニュートラルへ、そしてネイチャーポジティブへと、すべてのコミュニティが一丸となって前進する基盤となるでしょう」

日本のコンピューターサイエンティストでソニーグループ執行役専務を務める北野宏明氏も、石井氏の主張に賛同し、気候変動対策においてデータ解析は核心部分だと述べた。

「データはそれ自体に大きな価値があるわけではなく、処理し、理解しなければなりません」と、彼は言う。「すべてのテック企業はオープンソースデータを活用できる態勢を整えるべきです。こうしたデータは介入の手段となりますし、わたしたちは対策を進めなくてはならないのですから」

彼はまた、データセットが新たな農業の可能性をひらくと語り、ソニーのデータセットがオープンソースであることに言及した。

(スクリーンショット)

「わたしたちは高生物多様性農業を開発しています。実用化のためには微小生態系デザインを理解する必要があり、わたしたちは作物と植物のマッチングに関する巨大なデータセットを保有しています。これをオープンソース化しているのは、全世界からさらにデータを集めるためです」

北野氏はさらに、ソニーのシステムは「複雑で動的」であり、緩和、適応、再生の3つのステップから構成されると説明した。これらはサプライチェーン管理に役立ち、介入の過程でどんな問題が起こりうるかを理解し予測する助けになるという。

「ソニーは世界最大のセンサー製造企業であり、とりわけイメージセンサーを得意としています。全世界に可能なかぎりセンサーを配置したいと考えています。わが社にはエネルギー消費の小さい無線通信システムと、レーザーを利用した衛星コミュニケーションシステムがあります」と、北野氏は展望を語った。

 

topics
特に人気
オススメ

return to top