
ワシントン:新型コロナウイルスのパンデミックによる影響は「非常に深刻」なものとなるが、長期にわたる成長拡大や高い就業率を背景に、世界経済は現在のショックを乗り切ることが可能、と国際通貨基金(IMF)幹部が見解を示した。
IMFの戦略政策審査局長を務めるマーティン・ミューライゼン氏は、政府の主な目標は経済ショックが一時的なものと安心させるやり方でウイルス感染拡大を抑えることでなくてはならない、とIMFポッドキャストの中で語った。
政府や銀行はすでに市場が機能し続けるよう流動性を供給するなど前例のない措置を講じており、「おそらくさらなる措置が必要になるだろう」が、こうした手段も効果を増幅させるには国際協調が必要である、とミューライゼン氏は述べた。
「この危機に対する衛生対策も、組織化や協調化が改善されればされるほど信頼感の回復も早まるだろう」と述べた。
G7(先進7か国)の首脳は先週、パンデミック対処に向けて「あらゆる措置を取る」と表明したが、具体的な措置は示されず、そのため市場は不安定な状態が続いた。
G20(主要20か国・地域)の首脳は来週「バーチャル首脳会議」を開く予定だが、専門家によると、グループ内で意見が分かれていることから、会議が強力な協調行動に結びつく見通しは暗いという。
新型コロナウイルスはこれまでに世界中で254,700人以上の感染者、10,451人の死亡者を出している。感染拡大抑制対策は世界中で需給と供給の両方に深刻なショックをもたらし、ショックは金融セクターにも波及している。
ミューライゼン氏は、金融機関の回復力が2008~09年の世界的な金融危機以前よりも強いし、着実な成長と高い就業率がなんらかの緩衝材となるはずだ、と述べた。
「その意味で今回の危機は、我々がこの種のショックに備えができている時期にやってきたというのが希望的観測」だが、それでも影響は「かなり深刻」なものになる、と語った。
ミューライゼン氏は、IMFはゼロ金利や低金利のローンやグラントを通じて危機に対処すべく取り組んでおり、新興市場が急激な資本流出に対処できるよう支援する用意もあると述べた。
また、商品価格、特に原油価格の急落が多くの国にさらなる難題をもたらしており、IMFではそうした商品の輸入国を支援しているという。
しかしながら、この危機により政府と民間部門の両方が十分な緩衝材を持つ必要性が浮かび上がった、とミューライゼン氏。したがってIMFは今後も引き続き負債比率の高さを見ていくという。
「各国が責任を持って行動することが大切だし、まさに今起こっているように、公共政策による対応が本当に必要な場合に対応できるよう、余地を残しておくことが大切だ」とミューライゼン氏は付け加えた。