
ワシントン:トランプ前米大統領は13日、東部ペンシルベニア州で演説し、米鉄鋼大手USスチールの臨時株主総会で日鉄による買収提案が承認されたことについて、「私なら取引を成立させない」と述べ、反対する考えを改めて強調した。その上で「世界で最も偉大な企業が日本に売られる。おめでとう、日本よ」と皮肉り、返り咲いた場合には阻止する姿勢を示した。
USスチールが本社を構える同州は、11月の大統領選で勝敗の鍵を握る激戦州の一つ。2016年の大統領選では、労働者票の一部が共和党候補のトランプ氏に流れ、勝利の一因となった。買収に反対する全米鉄鋼労組(USW)に寄り添う姿勢を示すことで、前々回選挙の再現を狙う。
買収を巡っては、民主党のバイデン大統領も「労働者との約束を守る」とUSWを支持する考えを表明し、反対姿勢を示している。USWは先月、バイデン氏を支持すると発表した。
12日開かれたUSスチールの臨時株主総会では、日鉄による買収提案が承認された。ただ、米独占禁止当局や、安全保障上の問題点の有無を調べる「対米外国投資委員会(CFIUS)」による審査が続いている。
時事通信