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イスラエルによるガザ包囲の最中、増大する脅威に対峙する中東駐留米軍

2021年7月8日撮影のこの写真には、イラク西部アンバール県にある駐留米軍のアイン・アル・アサド空軍基地の滑走路上のC-130ハーキュリーズ・ターボプロップ軍用輸送機が写っている。2023年10月19日には、ドローンとロケット弾がこの基地を標的とした攻撃を行い、複数の爆発音が同基地内で鳴り響いた。(AFP / 資料写真)
2021年7月8日撮影のこの写真には、イラク西部アンバール県にある駐留米軍のアイン・アル・アサド空軍基地の滑走路上のC-130ハーキュリーズ・ターボプロップ軍用輸送機が写っている。2023年10月19日には、ドローンとロケット弾がこの基地を標的とした攻撃を行い、複数の爆発音が同基地内で鳴り響いた。(AFP / 資料写真)
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20 Oct 2023 07:10:56 GMT9
20 Oct 2023 07:10:56 GMT9
  • イエメンでは、米海軍艦艇が、フーシ派部隊が発射した巡航ミサイル複数とドローン数機を迎撃した
  • イラクとシリアの米軍施設は、10月17日以降に、ドローン攻撃を4回受けている

ワシントン:中東で緊張が高まる中、10月19日には、米海軍の軍艦がイスラエルへ向けて発射されたと見られるミサイルを撃墜し、イラクとシリアの米軍基地が繰り返しドローンによる攻撃の標的とされるなど、同地域の米軍は増大する脅威に対峙している。

米海軍の駆逐艦カーニーは、紅海北部で、イエメンのフーシ派部隊が発射した地上攻撃用巡航ミサイル3発とドローン数機を迎撃した。駆逐艦カーニーによるこの対応は、今回の紛争においてイスラエルを援護しようとしている米軍による初の武器使用であると考えられる。

国防総省報道官のパット・ライダー准将は、フーシ派部隊が発射したミサイル複数発がイスラエルへ向けて発射されたものであった「可能性」があるが米軍はそれらが何を標的としていたのかについての分析を未だ終えていないと記者らに対して述べた。

米当局者は、海上で撃墜されたミサイルは米駆逐艦カーニーを標的としたものだとは考えられていないと述べた。同当局者は、匿名を条件として、未だ発表されていない軍事作戦について語った。

しかし、10月19日に軽傷者を出したシリア南部での攻撃も含め、過去3日間の一連のドローン攻撃は米軍基地を標的としていた。

数多くのイスラム諸国での抗議活動を引き起こすに至った、死亡者数百人に上ったガザの病院での爆発事件の後を追うようにして、こうした破壊的行為が頻発するようになった。イスラエル軍は、約2週間前のハマスの壊滅的な暴挙への報復ととしてガザに容赦のない攻撃を加えているが、イスラエル側はアル・アハリ病院の爆破の責任を否定しており、米政府も諜報機関の分析によりイスラエル政府に非はないことを確認したと述べた。

しかし、ここ数日、ヒズボラからフーシ派まで中東地域内の数多くの武装勢力がパレスチナ側への支持を表明し、イスラエルに対する脅威となっている。10月17日以降、武装勢力は、米軍が現地の防衛部隊を訓練し、また、ダーイシュを対象とした任務を支援しているイラク、シリア内の米軍施設に対して、ドローンによる攻撃を少なくとも4回行っている。

欧米諸国では、こうした攻撃によってイスラエル国内の紛争がより大規模な地域戦争へと拡大するのではないかという懸念が高まっている。

「私たちはまさにそれを阻もうとしているのです」と、国防総省報道官のライダー准将は述べた。

直近の攻撃は、10月19日にイラク西部のアルアサド空軍基地を標的としたものだった。イラクのイスラム抵抗勢力は、犯行声明を発表し、ロケット弾をアルアサド空軍基地に一斉発射し、「正確に標的を直撃した」と述べた。米国の当局者は、この攻撃があったことを認めたものの、その結果の分析には時期尚早だと述べた。

また、同じく19日には、シリア南東部のアルタンフ駐屯地がドローンによる攻撃を受けた。米軍は、シリアの同盟勢力の訓練とイスラム国の武装勢力の活動の監視のために、この基地に数年にわたって駐留し続けている。

米国防総省は、ドローン1機は撃墜されたものの、もう1機はこの基地を直撃し軽傷者が出たと発表した。

アルタンフ駐屯地は、レバノン南部のヒズボラやイスラエルの近傍にイランの支援を受ける武装勢力が武器を輸送するために頻繁に使用する重要な道路沿いに位置している。

また、シリアの反政府活動からは、米軍が駐留するシリア東部の石油施設に対して、別のドローンによる攻撃があったと述べている。 ヨーロッパを拠点とする活動家でメディア「デリゾール24」代表のオマール・アブ・ライラ氏は、イラクとの国境沿いのシリア・デリゾール県の東部地域にあるコノコ・ガス田を爆発物を搭載したドローン3機が攻撃したと述べた。英国に拠点を置く、反シリア政府系戦争監視団体の「シリア人権監視団」も、同ガス田での爆発を確認している。

10月17日、米国が部隊の訓練やイスラム国に対する作戦の実施のために使用している2つの基地に対して、ドローン3機を現地武装勢力が発射した。相次ぐ発射の中、アルアサド空軍基地では警告の内の1つが誤報だったことが判明したものの、兵員らは掩蔽壕に殺到した。その最中、民間軍事会社社員の1人が心停止となり死亡したとライダー准将は述べた。

ライダー准将は、いずれの勢力がドローン攻撃を行ったかについてはまだ確認できていないとしながらも、米国は「あらゆる脅威から米軍と同盟諸国の軍を守るために必要なすべての行動を取ります」と語った。いかなる軍事的対応も「米国が選択した時機と方法で」行われると、同准将は述べた。

ライダー准将は、米駆逐艦カーニーによる迎撃について、フーシ派のミサイルの飛行プロフィールが「潜在的な脅威を示していた」ため、同ミサイルに対しての攻撃が行われたと述べた。米国は「この重要な地域における米国のパートナーらと米国自身の利益を守るため」に必要なことは何であれ実行する用意があると、ライダー准将は付け加えた。同准将は、米国はフーシ派のミサイルの標的が何であったかは依然調査中であると述べたが、地上の米軍人や民間人に負傷者はいなかったと述べた。

イランに支援されたフーシ派反政府勢力は、パレスチナ側への支持を表明し、イスラエルに対する脅威となっている。先週、サウジアラビアが主導する連合軍と交戦中のフーシ派反政府勢力が支配下としているイエメンのサヌアでは、イエメンとパレスチナの旗を振るデモ隊が街路を埋めた。フーシ派反政府勢力のスローガンは、長きにわたって、「神は偉大なり、アメリカに死を、イスラエルに死を、ユダヤ人に呪いを、イスラムに勝利を」である。

先週、フーシ派反政府勢力の指導者であるアブドルマリク・アル・フーシ氏は、イスラエルとハマスの間で進行中の紛争に介入しないよう米国に警告し、介入した場合には自身の支配下の勢力がドローンやミサイルを発射して報復すると脅迫した。

フーシ派関係者に10月19日に問い合わせを行ったが、この事件についてのコメントは断られた。2人の内、1人はこの事件を知らなかったと述べ、もう1人はこの事件について話す権限が無いと答えた。

ロイター

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