
世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日系自動車各社の操業停止の波が、欧米に続いてアジアや中南米に押し寄せている。各国政府の外出自粛要請やサプライチェーン(部品供給網)の混乱などに伴い、グローバルに工場休止が長引けば、業績を直撃する恐れがある。
インドでは、最大のシェアを握るスズキが二つの完成車工場について23日から当面の休止を決めた。生産能力は合わせて年間150万台に上り、再開時期は現地政府の方針に従うという。日産自動車、ホンダも同日から稼働を停止。トヨタ自動車も従業員の出社が困難なため、23日については操業を見合わせた。
フィリピンでは、トヨタが完成車と部品の工場稼働を4月半ばまで停止する。三菱自動車の完成車生産も4月12日まで止まり、トヨタはマレーシア生産を月内いっぱい取りやめる。ホンダのパキスタンの二輪車工場は24日から休止。
中南米でも工場休止が相次いでおり、トヨタやホンダがアルゼンチンの工場の月内操業を見送るほか、日産自動車はメキシコの工場を3月25日から4月14日まで休止することを決めた。感染者が1500人を超えたブラジルをはじめ中南米では拡大防止に向け自粛ムードが急速に覆いつつあるという。
各社の現地販売店も続々休業しており、「操業を再開できても、消費マインドの落ち込みが心配だ」(自動車大手幹部)と、コロナが深刻な影を落とす景気の行方に気をもんでいる。
時事通信社