
【ニューヨーク時事】日本貿易振興機構(ジェトロ)の米国6事務所は9日、在米日系企業の新型コロナウイルス対策に関する調査結果を公表した。調査では、米国に進出している日系企業の54.5%が過去1カ月に売り上げが減ったと答えており、企業業績への影響が広がっていることが示された。
調査は6~8日に実施し、1048社が回答。売り上げが減った企業のうち、減少幅が「前年同月比20%以上~50%未満」だったのは44.3%、「同50%以上」は23.3%に上った。
州政府などによる自宅待機令や自主的な取り組みによって、約95%の企業が在宅勤務を実施している。これに伴い、半数以上の社が、営業活動の制約や、社員間のコミュニケーション不足による生産性の低下を懸念。中には社員のメンタル面のケアを目的に、オンラインでの朝会や飲み会などを実施する企業もあった。
一方、州政府が指定する「必要不可欠な事業」に該当するため、職場で事業を続けている企業は43.5%。ただ、こうした業種に該当しても、顧客の生産停止や需要減の結果、やむなく事業を停止した企業もあるという。
また、約7割の駐在員と約6割の駐在員の家族が日本に一時帰国せず、米国内にとどまっていることも明らかになった。帰国しない理由として、「移動による感染リスク」や「子どもの学校の都合」などが挙げられた。
ジェトロは「公的支援の情報把握や、労務・安全管理など、対処に苦慮する課題が尽きない」として、日系企業の支援のための相談窓口を米国内の各事務所に開設した。
時事通信社