
環境省は30日、2025年度予算概算要求を発表した。総額は8704億円で、前年度比48.9%の大幅増となった。温室効果ガス排出削減に向け、脱炭素を推進する事業に重点配分するのが主な要因。離島に住む水俣病被害者が島外に通院する際に支給される「離島加算」も増額する。
脱炭素推進事業では、再生可能エネルギーの導入など、地域の脱炭素化を進める自治体を支援する交付金に762億2100万円を充てる。脱炭素社会の実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)関連では、軽量で折り曲げられる「ペロブスカイト太陽電池」の自治体などへの補助事業を金額を示さない「事項要求」とした。
また、水俣病被害者救済などの総合対策費として、116億2400万円を計上。離島加算を現行の1人当たり月1000円から同2000円に倍増する。水俣病発生地域の住民を対象とした、水銀による健康影響調査を25年度に試行的に実施する。
5月の水俣病被害者団体との懇談では、同省職員がマイクを切り、参加者の発言を遮る問題が発生。これを受け、伊藤信太郎環境相は7月に被害者団体と再懇談した。その際、伊藤氏は離島加算の増額検討や2年以内の健康調査実施を表明していた。
時事通信