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東京がアラムコのIPOに最適な理由

21 Oct 2019 11:10:24 GMT9

フランク・ケーン

世界で最も利益を上げている企業サウジアラムコが、その型破りな新規株式公開(IPO)をサウジ証券取引所(Tadawul)で開始する準備をやっと整えてしまえば、王国は海外での株式上場についてどの証券市場を選ぶべきか、真剣に検討し始めるだろう。株式公開のこの部分について、焦点は徐々に東京へと絞られている。 

先週、差し迫った状況で株主である王国に対してのみ行われた、サウジでのIPOの中止をぎりぎりで発表する用意があるとの告知は、多くの憶測を呼んだ。

この決定は主に、アブカイクとクライスにあるアラムコの施設が攻撃を受けた第3四半期の決算数字を、IPO目論見書に含めたいという希望を反映したものだった。特に世界の石油市場で価格変動が激しくなっている最近の状況においては、これは用意周到かつ注意深く行うべきことであるのは間違いない。 

アラムコの復旧作業は素早く、この攻撃による生産の減少は深刻なものとはならなかた。しかし、大手機関投資家は客観的で確かな財務上の数字として、それ自体の証拠を確認したいと考える。アラムコの視点から言えば、同社の財務状況が攻撃による影響を受けていないことを示すことができれば、最終的な評価額が上がる可能性があるだけである。 

それらの数字がいったん公になり、国内での新株発行が始まれば、海外での上場に対する東京の魅力が全て明確になるはずだ。もし株主にとって望ましい評価が得られれば、東京での上場は全体の2%、400億ドルほどの規模になる可能性がある。 

時価総額3兆5,000億ドルを持つ東京証券取引所にとって、この程度のIPOを吸収するのは訳もないことだろう。最近でも、ソフトバンクが210億ドルの新株を発行した昨年12月の大型IPOを滞りなく終え、その力を証明している。 

また東京は、配当収入を求める機関投資家と個人投資家による、懐の深い流動性を持つ。アラムコは年間750億ドルを配当に回すことを約束している。これは、低金利環境にある日本の投資家には魅力的に聞こえるだろう。 

世界第三位の規模を誇る東京市場には、そのような大型IPOにふさわしい地位と能力がある。東京市場の金融機関は、世界で最も規模が大きく最も効率的なものの1つであり、その他の全ての主要金融センターとも相互につながっている。事実、規模の大きな他の世界的市場がそれぞれの問題に悩まされている中で、東京はアラムコにとって最適な選択肢のように見え始めている。 

ニューヨークはその厳しい規制制度のため、事実上自らを候補から除外している。ロンドンはブレグジットの混乱と不透明さから抜け出せずにいる。そしてアジアで最も先頭を走っていた香港は、社会的・政治的な大混乱に見舞われている。そのような不安定な時代に、東京は安定性と確実性を提供する。 

決定的な要因は、日本とサウジアラビアの間で拡大している商業上の関係であるように思える。日本は原油の4割ほどをアラムコから調達しており、その他にもソフトバンク・ヴィジョン・ファンドを通して金融的なつながりも拡大している。史上最大のIPOにおける株式上場でそれらのつながりを強固なものにすることは、必然的な次の段階である。

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