
東京:日本は、中央銀行が意図的に金融政策で円安を誘導しているという、ドナルド・トランプ米大統領の「誤解」を解かなければならない、と黒田東彦前日銀総裁は語った。
トランプ大統領は月曜日、日本と中国に対し、自国通貨の価値を下げ続けることは米国にとって不公平であるため、続けることはできないと述べたという。
金曜の夜にトランプ大統領の発言について質問された黒田前総裁は、日本のテレビのインタビューに対し、トランプ大統領が計画している関税措置によってアメリカのインフレ率が上昇する見込みでドルが上昇した場合、日本が円を支えるためにできることには限界があると語った。
黒田前総裁は、「実際、日本政府は円安を防ぐために、為替市場に介入するなど、多大な努力をしてきた」と語った。
長期にわたる超緩和政策の後、日銀は利上げを開始した。一方で政府は2022年と昨年、円を押し上げるために稀に為替市場介入を行い、7月には1ドル=162円という38年ぶりの安値をつけた。今週のドル円相場は148円前後で終わった。
「日銀は意図的に金融政策で円安を誘導しているわけではない。その点について誤解があるのなら、対処する必要がある」と黒田前総裁は語った。
黒田前総裁は何度かセミナーで講演しているが、日銀総裁を退任してからテレビに出演するのは初めてだった。
日銀は金利正常化を続ける
中央銀行は、黒田前総裁が2013年から2023年の在任中に、数十年にわたるデフレと成長鈍化から日本を脱却させるために行った急激な金融緩和を解除しようとしている。黒田前総裁の下、日銀は2013年に大規模な資産買い入れプログラムを実施し、2016年にはマイナス金利と国債利回り抑制策を実施した。
景気刺激策の最初の一撃によって引き起こされた円安と、低金利が長期化する見通しによって引き起こされた更なる円安は、トランプ第一次政権を含むワシントンから、東京は日本の輸出品に競争上の優位性を持たせるために円安を維持しようとしているとの批判を招いた。
植田和男現総裁の下、日銀は昨年3月に急進的な景気刺激策を終了し、1月には短期金利を0.5%まで引き上げた。
黒田前総裁は、超低金利政策を長く続けることはインフレを押し上げる可能性があるため、日銀は徐々に金利を引き上げるという正しいステップを踏んでいると述べた。
黒田前総裁は、「日銀はすでに金融政策の正常化を進めており、経済にとって中立的と考えられる水準に向けて徐々に金利を引き上げるなど、この面で着実に進めていく」と述べた。
「中立金利を上回る急速な利上げも、低金利を長く維持することも、どちらも不適切だ」と黒田前総裁は述べた。
黒田前総裁は1月に発表した研究論文の中で、インフレ率が目標の2%を持続的に達成する見込みであることから、日銀は今後数年間は利上げを続けるだろうと述べた。
ロイター