
東証1部上場のアパレル大手レナウンは15日、法的整理の一つである民事再生手続きに入り、経営破綻した。負債総額は約138億円。新型コロナウイルスの感染拡大で、衣料品の販売が急減する中、資金繰りに行き詰まり自主再建を断念した。コロナ禍による上場企業の破綻は初めてで、今後、企業を取り巻く環境が一段と厳しくなるのは確実だ。
子会社のレナウンエージェンシー(東京都江東区)が同日、債権者として申し立てを行い、東京地裁が手続きの開始を決めた。今後は管財人の下でスポンサーを探す。レナウン株式は6月16日付で上場廃止となる。
レナウンは1902年に大阪で繊維卸として創業した。CMソングなどで有名になり、69年に東証1部に上場。「アーノルドパーマー」などのブランドで売り上げを拡大した。
2004年には旧ダーバンとの経営統合で事業拡大を目指したが、主力の百貨店内の店舗が低迷。10年から中国繊維大手の山東如意科技集団の傘下で再建を進めていた。
19年12月期連結決算(10カ月)は、消費税率引き上げや暖冬の影響などで純損益が2期連続の赤字を計上。赤字幅は大きく拡大し67億円となった。その後も、新型コロナの影響で来客数が減少した。百貨店の休業も追い打ちを掛け、4月の既存店売上高は前年同月比81.0%減に落ち込んでいた。
3月下旬の株主総会では、経営陣が提出した社長と会長の再任案が山東如意の反対で否決されるなど経営をめぐる混乱も目立った。
時事通信社