
東京:この件に詳しい2人の関係者によると、トヨタはスポーツカー「GRカローラ」の生産の一部を英国に移し、北米向け輸出車を生産する専用ラインに約5600万ドルを投じるという。
日本から一部の生産をシフトすることで、トヨタはイギリスの余剰生産能力を活用し、同車の納車待ち時間の短縮を目指すと、匿名を条件に語った。この動きは、ドナルド・トランプ米大統領の自動車輸入関税に反応したものではないという。
トランプ政権は今月、イギリスからの自動車輸入に対し、年間10万台を上限に関税を10%に引き下げることで合意した。日本は、米国がすべての自動車輸入に課している25%の関税の撤廃を求めている。
世界の自動車メーカーにとって、この関税は、主要市場間で異なる排ガス規制や顧客の要求に加え、さらなる挑戦を意味する。
トヨタはGRカローラを日本市場向けと北米やその他の市場への輸出向けに日本で生産している。しかし、エンジン愛好家たちのガソリン車への関心の高さから、北米での需要に追いついていないのが現状だという。
関係者によると、ダービーシャー州のバーナストン工場に生産ラインを設置し、約80億円(5600万ドル)を投じて、2026年半ばから北米輸出用に年間1万台を生産する予定だという。
バーナストンは1992年に操業を開始し、高度な生産技術を有している。ブレグジット以来、生産台数の減少に悩まされている。同工場はすでにカローラGRのベースモデルであるカローラハッチバックを生産しており、自然な選択だと関係者の一人は語った。
エンジニアは日本から一時的に派遣され、生産技術やその他の専門知識を共有するという。
ロイターの質問に対し、トヨタは生産を最適化する方法を常に模索していると述べた。今回の報告は、同社が公に発表したものではないという。
高性能車
GRカローラは、豊田市にある元町工場の専用ラインで生産される3台の高性能車のうちの1台で、生産はすでにフル稼働している、と関係者は述べた。
このラインでは昨年約25,000台が生産され、そのうちGRカローラは8,000台を占めている。
トヨタの米国工場も、ハイブリッド車や他の車種への旺盛な需要に対応しており、米国での生産シフトを難しくしている、と関係者は語った。
日本からの輸出にせよ、イギリスからの輸出にせよ、トヨタは関税によるコスト増をコスト削減やその他の手段で吸収し、値上げはしない予定だという。
GRカローラとGRヤリスを含むGRシリーズは、豊田章男会長のレース好きで知られることから生まれたブランドで、モータースポーツの技術を商用車に取り入れている。
GRカローラの価格は約600万円で、標準モデルの2倍である。電気自動車やハイブリッドカーに乗り換える顧客が増える一方で、スポーツカーには依然として熱狂的なファンがいる。
販売台数は多くないが、車自体の利益率は高い、とある関係者は言う。
GRシリーズは手作業の工程が多いため、通常のモデルよりも生産に手間と時間がかかり、北米に納車されるまでに数カ月かかる。
北米向け生産の英国への移管後も、元町工場では日本向けとその他の海外市場向け車両の生産が継続されると、関係者は語った。
ロイター