
元日産のカルロス・ゴーン会長が失脚してから1年半経ったいま、日産の人々の間でやり取りされたの一連のメールにより、彼を排除するために組織された綿密なキャンペーンの可能性が明らかにされた。これは、彼に対する告発は日産がフランスの自動車メーカー、ルノーとの合併を阻止するするための日産幹部による陰謀の一環であるとする以前の主張を裏付けるものとなっている。
日産はゴーンを追放する決定は、それが「彼の長年の職権濫用と不正行為」と呼ぶもののためであると述べてきたが、ブルームバーグ(Bloomberg)の記事で明らかにされたところでは、事情に精通した人々の記憶と文書は、強力なインサイダーのグループが彼の訴追と拘留はルノーと日本の大手自動車会社である日産の関係を、日産により有利な条件で再形成する機会として認識していたことを示している。
フランスの自動車メーカーと日産および三菱自動車とのパートナーシップを強化するというゴーンの誓約が、アライアンスを「不可逆的」にするような方法で行われることに不満を抱いた日産の幹部は、日産とルノーの会長を務めるゴーンの両社の一層の統合を進めるやり方に懸念を表明していた、とブルームバーグは当時の議論に詳しい人々の言葉を引用して報告した。
ブルームバーグの記事によると、日産のCEOオフィスに務めていたマレーシア出身のハリ・ナダ弁護士は、のちに検察官との間でゴーンに対する証言を行うことで協力するという司法取引を行ったが、同氏と政府関係を担当していた日産のシニアマネージャーである川口均氏の間とメールは、日産が2018年半ばに「手遅れになる前にゴーンの計画を無効にする」ためどのように行動すべきかについて議論していたことを明らかにした。
2018年11月18日にゴーンが東京の羽田空港で逮捕される前日、ナダ氏は当時の最高経営責任者である西川廣人氏にメモを回し、アライアンスの協定を打ち切り、ルノーの株式を購入する日産の権利を回復するようを要求した。ブルームバーグはこのメモに詳しい人々の言葉を引用し、このメモは日産の最高執行責任者や他の幹部を指名するルノーの権利を日産が抹消しようと企んでいたことについても言及していると伝えた。
ブルームバーグによると、西川氏への文書の中でナダ氏は、ゴーンの排除は世界最大の自動車アライアンスに新しいガバナンスを求める抜本的な変化であり、ゴーンの逮捕後、日産は迅速にその立場を主張すべきであると書いていたという。
アライアンスをさらに統合しようとするゴーンの計画が、43%の株式を介してルノーが日産をより強力に支配することを可能にすることへ懸念は、ナダ氏、西川氏、他の幹部の間のやり取りで明らかになった。
1990年代に日産に加わり、ゴーン氏の仕事の多くを監督してきたナダ氏は内部捜査を主導し、また東京地検によって捜査対象となっている疑惑の一部に関与していたとブルームバーグは伝えている。
ブルームバーグによれば、ゴーンの逮捕の数日前、ナダ氏は、当初の疑惑は一般の人に説明するのは困難である可能性があるので、ゴーンに対する疑惑をさらに拡大し、日産はより重大な背任容疑を求めるべきだと西川氏に伝えた、と当時のやり取りや議論に詳しい人々の言葉を引用した。
日産は、ゴーンの逮捕から数か月後に、ルノーとの提携関係の変更を確保し、アライアンスの会長のポストは削除された。