
フランク・ケイン
ドバイ:サウジアラビアは、3カ月にわたる石油市場の不安定さを切り抜け、米国を、昨年獲得した首位から払いのけ、世界最大の石油輸出国として浮上している。
石油業界の専門家の計算では、パンデミックによるロックダウンの影響で石油価格が急落した4月、サウジアラビアは、最高記録となる日量1100万バレル近くの石油を輸出し、米国は約860万バレルを輸出した。
両国の輸出は、歴史的なOPECプラスの減産合意の後、5月に減少したが、サウジアラビアはまだリードしていた。
このトレンドは、今年のほとんどの期間で続きそうだ。その理由は、サウジの減産が続いているのに、米国の石油生産は、石油価格を左右するシェールオイル事業の閉鎖や倒産に苦しんでいるからだ。
「ミドルイースト・エコノミック・サーベイ」には、石油業界の専門家らがまとめた数字が発表され、「2020年第2四半期の間は総じて、サウジアラビアは苦もなく他の追随を許さないだろう」と書かれている。
米国は昨年半ばにサウジアラビアを抜き、世界最大の輸出国になった。米国の基準価格であるウエスト・テキサス・インターミディエートが4月に急落して以来、多くのシェールオイル企業が石油採掘装置稼働数を減らし、一部は破産申請をした。
石油価格は、週末に生じた、中国で起こりうるウイルス感染の第2波に関する懸念を払いのけた。国際指標であるブレント原油は40ドルを超え、ウエスト・テキサス・インターミディエートは37ドルに達した。
国際エネルギー機関(IEA)の報告では、2020年の石油需要は、予想していたほど劇的には減少しないと予測されている。需要は日量9170万バレルで、IEAが以前に予測していたより約50万バレル多いが、過去最大の減少となる。パンデミック発生前の航空燃料需要は、航空業界の「悲惨な状況」により、2022年まで回復しないだろうとIEAは述べている。
中国では、3月と4月に石油需要が急速に回復し、5月にはインドの需要が急増した。「石油市場は依然として脆弱であるが、価格が最近緩やかに回復していることは、2020年上半期がより楽観的なムードで終わりつつあることを示唆している」とIEAは述べた。
「新たな取り組みは、OPECプラスの減産合意やG20エネルギー大臣会合といった形で、石油市場に安定感を取り戻すのに大きく貢献した」
連合体OPECプラスの合同閣僚モニタリング委員会は、今週末に会合を開き、協調減産は少なくとも1カ月は延長される可能性があるとも推測される中、協調減産の順守を評価する。