
日銀は新型コロナウイルス感染拡大に対応した資金繰り支援策の総枠を110兆円規模に拡大した。2020年度第2次補正予算の成立に伴うもので、未曽有の経済危機に政府と日銀が連携した格好だ。ただ、コロナ感染は第2波の到来が懸念される状況。その際、日銀にどこまで有効な追加策を打ち出す余地があるかは未知数で、危機対応はなお予断を許さない。
「当然効果があると思うし、実際に金融機関の貸し出しは大幅に増えている」。黒田東彦総裁は16日の記者会見で、一連のコロナ対応策の効果に自信を示した。
日銀は3月以降、コマーシャルペーパー(CP)・社債の購入拡大や金融機関に対する融資資金の供給など、企業破綻を防ぐための支援策を矢継ぎ早に決定。政府の緊急経済対策の効果と相まって、金融市場や企業の資金繰りは一時の危機的な状況からは脱したかに見える。
しかし、ブラジルなど今もコロナ禍が深刻な状況の国も少なくなく、世界的に感染が収束するめどは見えない。黒田総裁も「一部の新興国で感染拡大が止まらないことが一番のリスク」と懸念する。
また東京でも感染者数が再び増加する兆しが出るなど、第2波への不安も消えない。再度、外出や営業の自粛が要請されれば景気へのダメージは甚大だ。
黒田総裁は会見で「必要があればあらゆる手段をちゅうちょなく講じる」と強調、「新たな方策が必要になる可能性もある」との考えも示した。ただ、マイナス金利政策の強化は副作用が強く、コロナ対策も既に110兆円規模にまで達している。さらなる対応をめぐり、日銀は引き続き難しい政策運営を強いられそうだ。
JIJI Press