
アラブニュースジャパン
ロンドン:国際エネルギー機関(IEA)によると、今年は世界中で以前考えられていたよりも多くの石油が必要とされるだろう。パリに拠点を置く同機関は、予測を1日あたり9210万バレル(bpd)に引き上げ、6月に発表した見通しよりも40万bpd増加した。
それでもなお、新型コロナウイルスの感染拡大はエネルギー分野への重大な脅威となっている。
「間違いなく石油市場は「ブラックエイプリル」以来前進しています。しかし、新型コロナウイルスの感染者が多数出ていること、そして一部の国で感染が加速していることは、感染症の流行が抑まっていないと注意喚起するメッセージです。そのため、今後見通しがかなりの確率で下方修正される危険性があります」とIEAは報告書で述べた。
世界の石油需要は2020年に790万バレル減少し、2021年には530万バレル回復すると予測されている。
先物市場では、石油市場が今年上半期の大幅な黒字から下半期には赤字に転じると予想されている。
しかし、精製業者にとっては、今後供給原料市場の落ち込みが予測されるため、需要の改善による利益が相殺される可能性が高いとIEAは述べた。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアを含む他の国々で構成されるOPECプラスが生産の大幅削減に合意したため、世界の石油供給量は6月に激減した。
遵守率、つまり各国が生産を削減する約束を果たす度合いは108%だった。これには、義務付けられている量以上の100万bpdも減産し、OPECの原油生産量を約30年間で最低レベルにまで減少させたサウジアラビアによる過剰な仕事ぶりが含まれている。
米国ではシェールオイルの事業者が原油価格の下落に伴い利益を上げるのに苦労しているため、石油生産は低迷している。
米国の総石油生産量は3月と比較して4月に100万バレル近く減少した。IEAは、5月と6月は前月比がそれぞれ130万バレルと50万バレル減少すると予測している。
日本の原油輸入も5月に減少し、53年ぶりの安値となった。