
ファイサル・ファエク
原油価格は今週初めに大幅に動き、過去4カ月の最高値に達した。しかし今週末までにブレント原油価格はバレル当たり43.34ドルに落ち着いた。WTIもジリ高でバレル当たり41・34ドルとなった。
米エネルギー情報局のデータは、新型コロナウイルス感染者数の急上昇後にガソリン需要が低下したことを示した。米国雇用統計の最新の数値の低さが経済の不安定性を助長し、米国原油価格の見通しは弱気へと傾いた。
これは株式の急激な売りの引き金となるのに十分な要因ではあったが、しかし原油価格は安定状態を維持した。
米国ドルは22カ月ぶりの最低値まで下落したが、本来であればこれに反比例して原油価格の上昇が伴うものだ。
ドルの下落は通常であれば、ドルで値付けされた商品、特に原油の購入に拍車がかかる。他通貨の持ち主にとっては安値で買えることになるからだ。
しかし今回はそれが起こらず、価格は狭い上下幅に縛られたままで、それはここ2カ月以上続いている。
激化する米中貿易摩擦という形のもうひとつの大きなマクロ経済的テーマも、市場からは受け流された。
精油所の処理量も落ちており、コロナの感染者数増加で米国の原油需要が横ばい状態であることを物語っている。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI先物取引の買いポジションは、先週よりも6205件落ち込んだ。現在の原油価格の横ばい状態を投機家たちが避けているものとみられる。
7月が終わろうとするなかで原油価格は、新型コロナウイルスの感染拡大と回復との上下両方向の圧力に挟まれた格好となっている。
市場均衡化の支えとなり得るのは需要の回復のみであり、それはいずれ起こるだろう。
しかし回復の形や状況については引き続き予測不能だ。