Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • ビジネス
  • ブラジル大統領ボルソナーロ氏のサウジ協議、王国との投資関係強化へ

ブラジル大統領ボルソナーロ氏のサウジ協議、王国との投資関係強化へ

ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領。(AFP)
ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領。(AFP)
29 Oct 2019 07:10:31 GMT9
  • ビジョン2030計画はサウジのプロジェクトで「最も重要」、と述べるブラジルの外務大臣

Rashid Hassan

リヤド:ジャイール・ボルソナーロ大統領のサウジアラビアへの訪問予定は、世界有数の先進国との経済協力を強化し、高いレベルの関係性を維持したいというブラジルの意向を示すものである、とブラジル外務大臣のエルネスト・アラウージョ氏は述べた。

「この訪問は、インフラストラクチャー、防衛、革新、エネルギーおよび農業関連産業などのセクターで、ブラジルにおけるサウジアラビアからの投資拡大を後押しするでしょう。そしてサウジアラビアに対し、ブラジルの利権や民営化プログラム、特に、インフラ投資計画(Investment Partnership Program = PPI)ポートフォリオへの参加を促すことになるでしょう。」大臣はArab Newsに伝えた。

インタビューは以下の通り:

Q:ブラジルとサウジアラビアの間には大変友好的な二国間関係が保たれています。その現状について、ご説明いただけますか?

A:ブラジルとサウジアラビアは、いずれの地域においても必然的なパートナーです。昨年、私たちの外交関係は50周年を迎えました。サウジアラビアは、ブラジルにとって中東最大の貿易相手国です。2018年には、我々の貿易流動量は44億米ドル(165億サウジ・リヤル)に達しました。

相互投資を増進する見通しが、励みとなっています。昨年6月に大阪で開催されたG20サミットで、ジャイール・ボルソナーロ大統領はムハンマド・ビン・サルマーン皇太子と有意義な面談を行いました。そこでは、様々な分野における両国間の経済協力とパートナーシップ拡大を目的とした、優先事項と協同イニシアチブが確認されました。

ブラジル農務大臣のテレザ・クリスティーナ氏は昨年9月にサウジアラビアを訪問し、諮問評議会(Saudi Shoura Council)は10月にブラジルを訪れています。二国間関係が深まる瞬間に立ち会っていることは間違いないでしょう。

Q:サウジアラビアは、ビジョン2030に沿って大改革を行なっています。ブラジルも、新しいリーダーシップの下で大きな変化を目の当たりにしています。その二国間関係を要約するとしたら、ブラジルとサウジアラビアの関係性は今後数年どのように見ることができるでしょうか?

A:確かに、ブラジルとサウジアラビアの両国が大改革の只中にあります。当国は、経済を押し上げて持続可能な成長を促進するための、短期、中期、長期に及ぶ意欲的な構造改革課題を経ているところです。特に注目いただきたいのは、年金制度および税制の改革、中央銀行独立プロジェクト(BACEN)、そして経済民営化のプロセスです。

これらの改革は、道徳的過程を経済に作り出すでしょう。それは信頼を生み、ブラジル市場を国際的な貿易や投資へとより大きく開き、競争、生産性、効率性を刺激するでしょう。これらの目標は、ボルソナーロ大統領の就任スピーチですでに表明されていたことに改めて触れたいと思います。

ブラジルの経済改革とサウジのビジョン2030展開計画の収束は、インフラストラクチャー、農業関連産業、輸送、エネルギー、石油、防衛といった多岐にわたるセクターでの協力を促進するはずです。二国間のパートナーシップによって、これら全セクターに大きな可能性が期待できます。

Q:サウジ・ビジョン2030に沿って大改革が進む中、起こっていることをどのように捉えていますか?そしてビジョン2030のどういった側面を、最も野心的だとお考えですか?

A:ビジョン2030計画は、サウジアラビアで進行中の最重要プロジェクトです。これは同国の経済と生産システムを改革し、近代化する、規則とガイドラインを備えた法的枠組みを象徴しています。その目的は、王国経済の石油依存度を軽減することです。

この計画が目指す経済の多様化は、概してサウジアラビア社会への好影響ももたらすはずです。そして社会の開放性を向上するのに役立つでしょう。

2017年には、ビジョン2030計画の目標を達成して国の開発プロセスを改革するために、経済開発協議会(Council for Economic Affairs and Development = CEDA)が12件のプログラムを承認したと記憶しています。ブラジルはこの新しい試みにおいて、サウジアラビアと協働することに意欲的です。

ビジョン2030計画に基づいて外国投資を呼び込むという観点では、強調されてきたイニシアチブは、新規の経済特別区の制定に関連します。キング・アブドラ・エコノミック・シティ(メッカとマディーナの中間で海港を含む)、ナレッジ・エコノミック・シティ(マディーナにあり、テクノロジー拠点として確立し20,000件の雇用を生む計画)、プリンス・アブドゥルアズィーズ・ビン・ムサーイド経済都市プロジェクト(陸上輸送の中心地となるハーイルにある)、そしてジーザーンは、これまでに発表された経済特別区の4例です。

これら資源を配分するにあたり、ビジョン2030計画はこれまで述べたイニシアチブ全ての基準となります。このプロセスにおいて、経済の多様化と安定性、金融均衡、生活水準の向上は重要な要素です。民間セクターの活性化がその基礎となるのです。

Q:サウジアラビアではサッカーが大変人気で、代表チームがワールドカップへ出場しています。ワールドカップで最も成功しているチームとして、何かしらブラジルが協力するアイディア、あるいは王国へブラジル選手が渡ってプレーしたり、サウジアラビア選手がブラジルへ来たりといった計画はありますか?王国内でのスポーツ促進は、ビジョン2030の重要要素です。

A:サウジアラビアのサッカー界では従来、ブラジル人のコーチ、コーチングスタッフ、選手との契約をクラブと代表チームの両方で行ってきました。マリオ・ザガロ氏、カルロス・パレイラ氏など世界的に有名なヘッドコーチの両名がブラジル代表チームで優勝歴を持ち、サウジアラビアサッカーのレベル上げに尽力してきました。

スポーツ面での協力について、ブラジルとサウジアラビアは現在のところ覚書の交渉最終段階にあります。覚書は、大統領の訪問中に締結される見込みです。このことはサッカーとその他スポーツの両方で、二国間協調を著しく促進させる可能性を持っています。

さらに両国は現在、領土内に一連のサッカー学校を設立するサウジアラビアのプロジェクトに関し、ブラジルからのコーチおよびコーチングスタッフ参加について協議しているところです。これらの学校では、6歳から11歳の子供を対象にブラジル流のプレーが指導されます。このプロジェクトは、サウジの子供たちの間でサッカーを大衆化すること、そして国内ファンに多くの喜びと誇りをもたらす新世代の優れた選手の育成を目標としています

Q:二国間の貿易関係はいかがでしょうか。現時点で、二国間にはどのようなレベルの貿易量がありますか?

A:ブラジルとサウジアラビア間の貿易総額は、2018年に44億米ドルへ達しました。そのうち、2億1860万米ドルほどの小赤字がブラジル側に生じています。

2017年と比較すると、サウジアラビアからのブラジルの石油輸入高が2018年に増加しました。これが、当国の黒字を赤字へと変えた要因です。

2018年、当国の輸出品は主に基礎製品(63パーセント)、続いて半完成品(19.6パーセント)と完成品(16.9パーセント)という結果でした。

サウジアラビアへブラジルから輸出された主産物は冷凍鶏肉(輸出総額の38パーセント)と砂糖(16パーセント)でした。

2018年の輸入に関しては、基礎製品が1位を占め(輸入総額の71.8パーセント)、続いて完成品(26.1パーセント)、半完成品(2.12パーセント)となりました。全輸入品の中で1位となったのは原油(71パーセント)、続いて肥料(12パーセント)とポリマー(8.5パーセント)でした。

Q:今回のハイレベル訪問時に締結が予定されている、主な二国間協定はありますか?

A:はい。大統領訪問中に締結の可能性がある協議中案件は、次の通りです:

(i) 科学、技術、革新に関する協力合意

(ii) 短期滞在ビザに関する覚書

(iii) 文化協力に関する覚書

(iv) 防衛協力の枠組みに関する合意

(v) 二国間防衛投資ファンドに関する国防省間の覚書

(vi) スポーツに関する協力の覚書

(vii) 国立経済社会開発銀行(BNDES)およびサウジ開発ファンド間の共同融資に関する覚書

Q: 二国間協力を強化するうえで、今回の訪問はどの程度重要なものですか?

A:これは、ボルソナーロ大統領による中東アラブ国家への初の公式訪問です。リヤドへの大統領訪問は、世界有数の先進国との経済協力を強化し、高いレベルの関係性を維持したいというブラジルの意向を示すものです。閣僚、国会議員、そしてビジネス界代表者が大統領の代表団に加わることになります。

この訪問は、インフラストラクチャー、防衛、革新、エネルギー、農業関連産業などのセクターで、ブラジルにおけるサウジアラビアからの投資拡大を後押しするでしょう。そしてまたサウジアラビアに対し、ブラジルの利権や民営化プログラム、特に、インフラ投資計画(Investment Partnership Program = PPI)ポートフォリオへの参加を促すことになるでしょう。

また防衛、科学、技術、革新、そして農業の分野においても、今回の訪問が両国間で協調を探ることを可能にするでしょう。

特に人気
オススメ

return to top

<