
ロンドン:11月23日(月)、アストラゼネカによると、同社のコロナウィルス用ワクチンは副作用なしにほぼ90%の効果が期待出来ると発表した。これでアストラゼネカは、世界的なパンデミックを抑制するための科学レースにおいて、有望な中間データを公表する最も最近の製薬会社となった。
英国とブラジルにおける最終段階の実験データによると、オクスフォード大学が開発したこのワクチンは、まず一人分の規定の半量を投与、その後1ヶ月以上の間隔をあけて全量を投与すると、COVID-19 の予防に90%の効果がみられたという。
このワクチンに関して重大な安全性の問題は一切確認されておらず、二度の投与にわたってこれといった問題はみられなかったという。
「このワクチンの効果と安全性は、COVID-19 に対して極めて有効であり、現在の公衆衛生の緊急事態に対して即刻インパクトをもたらすことが確認された」とアストラゼネカの最高経営責任者パスカル・ソリオットが声明を出した。
この英国の製薬会社の予備試験結果は、140万人近い人々の命を奪い世界経済を混乱させたパンデミックに対する新たな突破口を示している。
英国のボリス・ジョンソン首相は、「実験の結果、オクスフォードのワクチンが非常に効果的であることが証明されたことは極めて喜ばしい」と述べた。
もう一つの投与方法は、1ヶ月間隔で全量を2回投与するもので、62%の効果を示した。これら二つの投与方法の分析を合わせると、平均して70%の効果が示された。すべての結果は統計的に重要な意味を持つ。
中間分析は、ワクチンを投与された参加者と既に確立されている髄膜炎の予防接種を投与されたコントロール群の人々のうちの131人をもとにして行われた。
60%から90%までの効果を示すそのデータは、米国のライバル企業たちが過去数週間に90%以上の効果を示す中間データを公表したことに続くものだ。
アストラゼネカのウィルスベクターワクチンの効能レベルは米国のライバル企業たちのものよりも低いが、異なるアプローチを用いる様々なワクチンの開発が可能なのだという自信を与えてくれる。公衆衛生の専門家たちによると、世界的な需要を満たすには多くのワクチンが必要になるという。
11月16日に米国を拠点とするモデルナは、同社の実験段階のワクチンが、初期のデータ分析において94.5%の効果を示したと発表した。
1週間前にはファイザーとドイツのBioNTechが、彼らのワクチン候補について90%以上の効果を実証し、完全な実験データの分析を合わせると95%に高まったと発表した。
11月11日、ロシアのスプートニクVワクチンもやはり90%以上の効果を示したが、それはわずか20人の実験対象感染者に基づくものであった。
アストラゼネカのワクチンは、チンパンジーの一般的な風邪のウィルスを使ってターゲットとなるウィルスと戦うよう細胞に指示を出す。これはファイザー/BioNTechやモデルナがもたらしたメッセンジャーRNA (mRNA) と呼ばれる新テクノロジーとは異なるものだ。
アストラゼネカは英国の最も有望な上場企業の一つで、条件付き又は早期承認に代わるた機構をもつ世界中の当局に対し、規定となっているデータ提供を大急ぎで準備することになる。
さらに同社は、低所得諸国でのワクチン配給をスピードアップさせるため、世界保健機関の緊急使用一覧を入手する予定もある。並行して、中間結果の完全分析を査読のある専門誌上に載せるために提出することになっている。
ロイター