
ショーン・クローニン
ドバイ:エミレーツは、55億ドルの通期損失を計上し、過去30年以上で初めて赤字に転落した。
この結果は、ドバイを世界で最も重要な国際航空ハブの1つに成長させた航空会社に対するパンデミックの壊滅的な影響を浮き彫りにするものである。
dnataを含むエミレーツグループ全体の従業員の数は、この1年で33,000人以上減少し、社員総数は31%減って約75,000人となった。エミレーツのこの1年の旅客数は660万人で、前年比88%減となった。
「パンデミックがいつ収束するかは誰にもわかりませんが、回復にはばらつきがでるでしょう」と、エミレーツ航空とエミレーツ・グループの会長兼CEOであるシェイク・アハメッド・ビン・サイード・アル・マクトゥーム氏は言う。「パンデミック開始時に強い立場にあった経済や企業は、立ち直るのにも有利となるでしょう。」
パンデミックは世界中の航空会社に深刻な影響を与えているが、この危機が航空会社や空港に与える影響は、その路線や旅客のプロフィールによって様々である。エミレーツは、国際線に大きく依存しており国内線ネットワークを持ないため、米国や中国など世界の他の地域におけるような国内線旅行の回復の恩恵は受けていない。
航空コンサルタントのジョン・ストリックランド氏はアラブニュースに対し、「エミレーツが多額の損失を計上したことは驚くべきことではなく、他の航空会社と同様、回復には長い時間がかかるでしょう」と語った。「ただし、短期的には、その777-300ERによる貨物輸送からの恩恵を受けています。エミレーツは既に、新しいタイプの航空機を導入しつつ、その航空機とネットワークの将来の形についてのオプションを評価中であり、また、同じくネットワーク展開のオプションに対し柔軟性を高めるフライドバイとの緊密なパートナーシップ拡大を予定しています。」
エミレーツ・グループの収益は、この1年で約66%減少し、97億ドルとなった。同社は、主要株主であるドバイ政府から113億ディルハム(31億ドル)の出資を受けたと発表した。また、同グループで航空ハンドリング、旅行サービス、ケータリングなどを行うdnataも、8億ディルハムの救済資金を受けたという。
エミレーツは、契約の再交渉や金融債務の再構築により、グループ全体でコストを削減し、年間で推定77億ディルハムの節約を達成したという。
シェイク・アハメッド氏は、同航空会社は可能な限り速やかに完全な運航能力の回復を目指していると語った。
「経済活動を成長させ、将来のための都市を建設するというドバイの変わらぬ野心とともに、エミレーツとdnataが回復し、以前にも増して強くなると確信しています」と同氏は語った。
エミレーツの旅客および貨物の総輸送能力は、58%減少した。この会計年度中にA380を3機導入し、旧型の航空機であるボーイング777-300ER 9機とA380 5機の合わせて14機を段階的に減らしたことで、総保有機数は3月末時点で259機となった。
航空機200機の受注予定に変更はない。