
ジャナ・サルーム
リヤド:イギリス「エコノミスト」誌調査部門によると、レバノンポンドが暴落し米ドルに対して価値が70%も下落したことで、レバノンは世界一ビッグマックが安い国となっている。
ビッグマックは現在1個29,904レバノンポンドという価格で、現地通貨で買うと安くはないが、1米ドルに対し17,800レバノンポンドという現在のレートでは、観光客や給与をドルで支払われる幸運な人にとっては1個わずか $1.68 となっている。
レバノンポンドの暴落は悪化を遂げており、米、砂糖、小麦粉等の生活必需品のインフレを加速させていると、レバノンの経済アナリストのバッセル・アル・カティブ氏は語る。
レバノンではほとんどの人が現地通貨で給与を支払われている。ベイルート・アメリカン大学(AUB)の危機監視室(Crisis Observatory)によると国の最低賃金は月額675,000レバノンポンドだが、この額はかつて公式為替レートで約$450に換算されたものの、現在では闇市場で$30になるかすら怪しいという。
同監視室によると、食料品の価格は過去2年間で700パーセント上昇し、過去数週間だけでもさらに50%上昇した。
レバノン人の大多数が日々貧しくなっており、一部の人は生活のために金や車、家具を売り払うことを強いられている一方、海外の親せきから米ドルの送金を待つ人や市民社会の支援を待つ人もいると、アル・カティブ氏はアラブニュースに語った。
これらはすべて、市場でもう買うことができない、あるいは価格が高くなりすぎた新生児用ミルクや医薬品の寄付を求める声であふれる、レバノンのソーシャルメディアに見ることができる。食料品を求める人への寄付のお願いも多い。
一方、高価なレストランの伝票をソーシャルメディアに投稿する人もいる。バベル・バヘル氏は食事に500万レバノンポンドを支払い、その伝票をFacebookにアップした。
「$250は外国人にとってはなんていうことはない額だ」、とラニアというFacebookユーザーは返信した。「米ドルを持つ人にとってはとても安い額だし、海外に比べればこの食事はまったく高価ではない」
米ドルで給与支払いを受ける人にとっては、以前は$3,000を要した生活水準を得るのに現在ではわずか$300で済むようになっていると、アル・カティブ氏は語る。
「日用品は補助金つきの価格になっていたり、密輸されたりしているため、日用品の一部への場当たり的な支援策は役立っていない」とアル・カティブ氏は言う。
悪化の一途を遂げる危機からレバノンを救うための計画も経済ビジョンも欠如している国の無策ぶりのせいで現状に至っているのであり、国に抜本的な解決策がない限り前向きな見通しは持てないと、氏は述べた。