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「スタートアップハブ・リヤド」は、サウジアラビアの新世代のイノベーターを生み出す

「ビジョン2030」が文化的な変化をもたらすものであるならば、「スタートアップハブ・リヤド」はその変化が電光石火で起こっている場所である(Shutterstock)
「ビジョン2030」が文化的な変化をもたらすものであるならば、「スタートアップハブ・リヤド」はその変化が電光石火で起こっている場所である(Shutterstock)
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19 Aug 2021 08:08:18 GMT9
19 Aug 2021 08:08:18 GMT9
  • 野心的な若い起業家が世界市場に進出するための「実戦的」プログラム

ジョージ・チャールズ・ダーレイ

サウジアラビアが石油をベースとした企業主導型経済の改革を進める中、中小企業庁(Monshaat)が運営する「スタートアップハブ・リヤド」は、より持続可能な起業家文化の出現のための、中心的存在となっている。

キング・ハーリド国際空港からほど近いリヤドフロント内のオフィスに到着すると、Monshaatのアントレプレナーシップハブ担当ディレクター、サラ・アルマングール氏が出迎えてくれた。

「ここには2つのセクションがあります」とアルマングール氏は説明する。「1階のアントレプレナーシップ・ハブと2階のイノベーション・センターです。この2つのセクションは、向かいのビルにあるMonshaatの中小企業サポートセンターと連動しています。これにより、ビジネスを行っている人や、これからビジネスを始めようとしている人をサポートする環境が整っています」

広々とした敷地内には、何十人もの若い女性や男性がノートパソコンに向かい、議論を交わしている。このプログラムは、スタートアップ企業が急成長を遂げ、より大きな市場に参入し、本物の投資対象となるために必要な知識とツールを提供する、数カ月間の集中的なトレーニングとメンタリングである。

このプログラムの参加者は、オフィスで仕事をするのと同じように毎朝出席し、ワークショップやブートキャンプ、セミナーに参加する。そこではフィンテック、ヘルスケア、教育技術などの専門家からニッチな分野のアドバイスを受けることが可能で、また、各分野のメンターのネットワークもある。

プログラムの最後には「Demo Day」が開催され、参加した起業家は集まったエンジェル投資家やプライベート・エクイティ投資家たちに5分間の「エレベーターピッチ」を行う。パンデミックの間は、ピッチはライブではなくバーチャルで行う。

「私たちが構築しようとしているのは、スタートアップ企業やエコシステム内の他のプレーヤー含めたコミュニティです。私たちは、あまり計画的になりすぎず、有機的に物事を進めていきます。例えば、いくつかのスタートアップ企業は合併して一つの会社になったり、お互いにサービスを提供したり、経験に基づいて貴重な情報を交換したりしています。これは教育やメンターシップであると同時に、非常に「実践的」なことなのです」とアマングール氏は言います。

共用デスクスペースや専用のプライベートオフィスなどのオプションが用意されたシェアオフィスエリアで、スタートアップチームのいくつかを紹介してもらう。エネルギー効率化のソリューションとグリーンビルディングのコンサルティングを提供する「EIA」、健康的な食事を定期的に職場に提供する「Daily Meals」、雇用主とパートタイムや短期の労働者をマッチングする「PTWay(Part-Time Way)」、アニメーション業界向けのコースや資格をデザインする「Rowad Tech」など。

2階では、技術革新スペシャリストのムハンマド・アルママール氏に会った。「イノベーションセンターでは、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます」と彼は説明する。

「リヤドのセンターはIoTとサイバーセキュリティに特化しており、コバールのセンターはAIとデータ分析に重点を置いています。伝統的な企業が新しい技術を採用するための体制と、革新的なスタートアップのための体制が組まれています」

親切に話しかけてくるロボットに導かれて、近未来的なイノベーション・スペースへ進む。ここでは、レーザーカッターや3Dプリンターなどの「デジタルファブリケーションマシン」を使って、製品のコンセプトを単なるアイデアから実用的なプロトタイプへと発展させることができる。

「スケッチ、デザイン、3Dビジュアライゼーション、そして最終的には3Dプリンターでの出力から組み立てまでの、専門知識を提供します」とアルママール氏は言う。「クライアントが求めているものを実現するまで、さまざまな変更やバージョンのプロトタイプを試してみることが可能です」

若き起業家ムハンマド・アル・ハッサン氏が自分の製品を説明する。「これは『Shuttle』と呼ばれています。これは、Eコマース事業者とその顧客とが連携したスマートロッカーです。荷物はこのロッカーに届けられ、好きなときに受け取ることができます。世界中のどこにいても、スマートフォンでロッカーを開けば、誰かがあなたに代わって荷物を受け取ることができるのです。これにより、配送がより安く、より効率的になり、お客様の体験も向上するので、誰にとってもWin-Winであり、すべてIoT技術で実現しています」

角を曲がったところにある24時間オープンのオフィスで、「DataLexing」チームに会った。彼らのソフトウェアを使えば、一般のマネージャーは高価なデータアナリストを必要とせずにデータ分析レポートを作成することが可能だ。

「データ分析レポートの作成には、通常3~6週間を要します」DataLexing社のCEOであるラヤン・アル・ファヒード氏は言う。「しかし、当社のソフトウェアを使えば、専門知識を必要とせず、わずか3〜6時間で完成します」

湾岸協力理事会(GCC)ではビジネスの連携が加速しており、DataLexing社は地域外の顧客からもアプローチを受けている。

「イノベーションセンターと中小企業支援センターには本当に助けられています」とアル・ファヒード氏は言う。「また、ここのコミュニティでは、マーケティングの支援が必要な場合、他のスタートアップ企業に声をかけることができ、彼らも専門知識を求めて私たちのところに来てくれます」

「ビジョン2030」が文化的な変化をもたらすものであるならば、「スタートアップハブ・リヤド」はその変化が電光石火で起こっている場所であり、野心的な若者が自分のアイデアを実現し、世界市場に進出するために必要なリソースとネットワークを提供している。

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