
インジ・アルブカーリ
米国の電気自動車製造業者ルーシッド・モーターズがサウジアラビアで2024年までに製造を開始し、中東におけるこの新たな部門での競合が加速しようとしている。
サウジアラビアに工場建設という発表は9月7日(火)に行われた。サウジアラビア標準化公団のサウード・アル=アスカル副社長がアル=アラビーヤテレビに対し、この取引に関する書類手続きが最終段階に入っていると述べている。
この動きはサウジアラビアの公共投資基金(PIF)が2019年4月に同社の持ち株の67%にあたる10億ドルの投資を行ったことを受けたものだ。
しかし、この融資を受けても、ルーシッドは高性能の電気自動車(EV)ライバル、テスラにはなかなか追随できずにいる。
ルーシッド・モーターズの看板モデル、ルーシッド・エアは7万ドル以上の価格で来年早々に発売予定だが、今のところ11,000 台しか注文が入っていない。
これは今年米国内だけでテスラが毎月売り上げている台数の約半分であり、同社のサウジアラビアにおける2020年の販売総数は388,000 台を下回っている。
来年度ルーシッドは2万台を生産目標としている。
ルーシッド・モーターズの最高経営責任者ピーター・ローリンソン氏は、同社にはテスラに対抗する方法があると考えており、こう語る:「テスラは、車の電化がテクノロジー競争だということに気づいたため、現在はまだ上昇気運に乗る前の段階にある」
ルーシッドは効率性においてEV 競争に勝てると考えているのだ。同社はどのEV よりも40%効率を高め、テスラのモデルSと同サイズのバッテリーで長距離運転をした場合に17%走行距離を延ばすことができるという。
長距離走行を目指した設計となっており、そのバッテリーでキロワット時あたり4.6マイル走行が可能、つまりルーシッド車は一度の充電で500マイル以上走行できることになる。これに対してテスラのモデルSは走行距離が約400マイル止まりとなっている。
しかし、最近バッテリー価格が安くなってはきたものの、EV はやはり内燃車よりもコストがかかる。税込みでバッテリーが車両小売価格の25%〜35%を占めている。
さらに2種の高級車種もルーシッドから販売発表されたが、$169,000以上の価格となっている。ドリーム・エディション・パフォーマンスはスピードと加速が、ドリーム・エディション・レンジは走行距離の最大化が売りとなっている。
これらの車の生産は最大500台とされており、今年上旬はすぐに完売となった。
サウジアラビアにおけるそれらの製造が始まれば、経済とビジョン2030に大きく貢献する可能性がある。
しかし同社が成功物語の立役者となり、PIF投資の見返りが出始めるまでには、まだかなり時間がかかりそうだ。