
ワエル・マフディ
リヤド:大口投資家や大手の資産運用会社が、世界経済の回復を犠牲にした環境保護に関する活動の速いペースに非常に不満を持っているのを知り驚いた。
サウジアラビアなどの産油国は何年にもわたり、世界が二酸化炭素排出量削減への動きを急ぎすぎるあまり、炭化水素(石油、天然ガスなど)のプロジェクトへ向けられる資金が減っていると警告してきた。
この懸念は、サウジのエネルギー大臣であるアブドルアジーズ・ビン・サルマン王子やその他サウジの主要な政府関係者によって明らかにされた。
産油国からの警告が歓迎されることはほとんどないが、現実がつきつけられるにつれて、石油や天然ガスのプロジェクトへの投資不足が続けば、エネルギー供給の逼迫が間近に迫る可能性があることを、大口投資家は明らかにしつつある。
リヤドで開催されているフーチャー・インベストメント・イニシアティブ・フォーラムで、ウォール街のトップ企業は、石油価格が上昇し続けるリスクについて警告した。
世界トップの資産運用会社であるブラックロックのラリー・フィンク氏は、石油価格が1バレル100ドルに達する可能性が「高い」と述べた。
同氏は、直近の中東グリーン・イニシアティブ・サミットで取り上げた懸念を繰り返し、世界は安価なエネルギー源を必要としているため、炭化水素への投資を支援していることを明らかにした。
サウジアラビアの公的投資基金(PIF)、資産運用会社のナインティ・ワン、HSBCホールディングスなど著名な投資機関はすべて、炭化水素への投資のペースを上げるようにと呼びかけた。
PIFのグローバル・キャピタル・ファイナンス部門の責任者であるファハド・アルサイフ氏は代表者に対し、「本質的に切迫感がまだない。世界の機関の間で連携する必要があるが、その実現には信頼感の点で問題がある」と語った。また、同氏は、「私たちが進めるペースのバランスについても心配している」と、付け加えた。
同氏の懸念を、ナインティ・ワンの最高商務責任者であるジョン・グリーン氏も繰り返した。グリーン氏によると、顧客との会話の60〜70%がエネルギーに関するものだという。
アブドルアジーズ・ビン・サルマン王子は、2060年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにまで削減するというサウジアラビアの野心的な計画は、石油への投資を減らすことではないと述べた。
同大臣が発表した戦略によれば、二酸化炭素排出量実質ゼロに到達し、再生可能エネルギーのグローバルリーダーになると誓約する一方で、世界有数の石油生産国の地位も維持したいとしている。
「リーダーシップの主張と維持(Claim and Retain Leadership)」の青写真には、石油セクターにおける優位性の維持というサウジ王国の願望が反映されており、「エネルギー市場における優位性」が最重要目標の1つとして挙げられている。