東京:ロシアと日本の緊張が徐々に高まり、天然ガス・石油開発事業「サハリン2」に投資している三井物産と三菱商事の株価は6日、下落した。ロシアのドミトリー・メドベージェフ前大統領は、日本がロシアの天然ガスと石油から切り離されるかもしれないと脅した。
メドベージェフ氏の発言が飛び出す前に、日本の岸田文雄首相は、週末に行われた街頭演説で、ロシア産原油の価格に上限を定め、現在の価格の半分程度に抑えることにG7諸国が合意したと述べていた。
G7首脳は先週、ロシアの歳入を減らし、軍資金を枯渇させるため、一定価格以上で売られたロシア産原油の輸送の禁止を検討することで合意したが、上限の具体的な数値には言及しなかった。
そのレベルの上限が定められた場合、日本は「ロシアからの石油もガスも手に入らず、LNGプロジェクト・サハリン2にも参加できないだろう」と、現在ロシアの安全保障理会議副議長を務めるメドベージェフ氏は5日、ソーシャルメディアに投稿した。
そのような価格上限が設定された場合、原油価格は1バレル300〜400ドル以上になる可能性がある、と同氏は補足した。
岸田氏とメドベージェフ氏の発言は、危険をはらんだ状況をさらにエスカレートさせている。1日にはロシアが、同国の極東サハリンのプロジェクトであるサハリン2を完全に管理下に置く大統領令を出した。この動きによって、日本の商社やシェルが追い出される可能性がある。
日本政府の木原誠二報道官は6日、メドベージェフ氏の発言は承知していると述べたが、発言へのコメントは避けた。
木原氏は、G7が価格上限の具体的な数値を検討しているかどうかについても明言を避け、「価格水準については、その具体的な制度設計はこれから行うもので、今後G7各国と議論を進めていく」とだけ述べた。
サハリン2に12.5%の出資をしている三井物産の株価は5.7%下落し、同社の株価は先月30日から7.6%下落した。
三井物産はメドベージェフ氏の発言ついてのコメントを拒否した。サハリン2に関するロシア大統領令の内容の確認・分析に努めており、進展について出資者と話し合う予定であることを、同社は繰り返し表明した。
サハリン2に10%出資している三菱商事の株価は5%下落し、同社の株価は先月30日から6.4%下落した。
三菱商事の担当者はメドベージェフ氏の発言についてすぐにコメントすることができなかった。サハリン2の共同出資者や日本政府と、大統領令への対応について話し合っている、と同社は発表している。
サハリン2は世界最大級のLNGプロジェクトであり、長期契約の下で供給するLNGの約6割が日本に出荷されている。
ロイター