
東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出について、東電は3日、放出に使う海底トンネルなどの建設工事を4日から開始すると明らかにした。来年春ごろの工事完了を目指すが、悪天候などにより海上での作業が遅れた場合、夏ごろにずれ込む可能性があるとした。
海洋放出も夏以降にずれ込む可能性が出てきたが、東電は現状のペースで処理水が増えた場合、敷地内の保管用タンクが満杯になるのは来年10月ごろとしており、完了がずれ込んでも「あふれることはない」との見解を示した。
4日は処理水を希釈設備に移送する配管の敷設などを開始。海底トンネルの掘削も、シールドマシンの点検が終わり次第着手する。
実際の放出開始には地元関係者の理解が欠かせないが、福島第1廃炉推進カンパニーの小野明代表は3日の記者会見で「一人ひとりの懸念に向き合い、説明を尽くすことが大事だ」と強調。引き続き情報発信に努めるとした。
原子力規制委員会が7月、東電の放出計画を認可。福島県と同原発が立地する大熊、双葉両町は今月2日、東電に建設了承を回答していた。
時事通信