

Hala Tashkandi Jeddah
サウジアラビアが石油を基盤とする経済から脱却し始めるにつれて、ビジネスベンチャーを炭化水素セクターの外に求める動きが出てきている。これはサウジの起業家と、王国経済を担う意欲的な投資家の両方にとって好機である。
ビジネスの可能性と未開拓のチャンスを求めて、他国に目を向けるなら今だと、多くのサウジアラビア人は考えている。そのような国のひとつが日本だ。
国際ビジネス経営は、常にハイリスク・ハイリターンを伴う。またサウジアラビア人にとって、日本人との商取引における文化や言語の壁は、海外の他の国々と比べて高い。
幸いにもそのような壁を越え、アラブ地域のために日本市場をより身近にしようと取り組んでいるサウジアラビア人たちもいる。
Abdulaziz Alforieh氏は、日本に12年滞在しているサウジアラビア人だ。流暢な日本語を話し、その言語スキルを活かして不動産会社で働いていた。日本で住居を探すアラブ人学生や駐在員の手助けをしていたのだ。
「日本で適切な住居を探すのは大変です。特に外国人はね。私は申請書の翻訳や、お客様と賃貸会社の仲介などを行っていました」とAlforieh氏は語る。
その後活動の幅を広げ、観光、翻訳、サウジ企業に興味を持つ日本の会社向けのコンサルティングサービスを行っている。
「私はビジネスパートナーや投資のチャンスを求めている日本企業と、同じ立場のサウジアラビア企業を結ぶ連絡係のような役割を果たしているのです」と、彼は言う。
Alforieh氏によると、この仕事は非常に実りが多い一方で難しいことも多いという。言語の壁や、仕事に対する姿勢における文化的見解の相違は、さまざまな問題を引き起こしかねないのだ。
Alforieh氏の見解では、日本人とアラブ人のビジネスアプローチの仕方には、決定的な違いがある。アラブ人ビジネスマンは、取引を早く成立させるため、交渉時に寛容になりがちだ。それに対して、日本人は交渉中になかなか譲歩しようとせず、より納得のいく結果を出すためならば待つことを厭わない。
「日本人はとても几帳面で、それに関しては賛否両論です。ほとんどのアラブ諸国、特にサウジアラビアでは、日本に比べて仕事の進め方がのんびりしているように見えるでしょう。日本のビジネスは非常に系統的で、外国人には過剰なほど厳格に思えることもあります」とAlforieh氏は言う。
Alforieh氏には、2つの文化をつなげる最高の仲介役としての自負がある。外部の人間にとって、日本のシステムは融通が利かないと思われることもあるが、日本のビジネス文化の複雑さを徐々に理解していくことで問題は緩和されるというのだ。
「概して、日本でビジネスをしたい人にあげられる最良のアドバイスは『とにかく辛抱強くなれ』ということです」
「もし手早くビジネスを行いたい、交渉してから2日後には契約書が欲しいというなら、日本は向いていない。でも根気強く待つ気があるならば、見返りも大きいだろう、と助言するでしょう。」
日本に13年間滞在し、さまざまな職業を経験してきたFurat Bantan氏もAlforieh氏の意見に賛同している。現在はレバノン大使館で翻訳者として働いているが、かつては彼もまたAlforieh氏のようにコンサルティングを仕事としていた。
「アラブ世界と日本の最大の違いは、サウジアラビアの人々は基本的に迅速に物事を進めようとするところです。一方、日本人はゆっくり確実に行動し、ビジネスリスクを最小限に抑えようとします」と、Bantan氏は語った。
Bantan氏の指摘によると、両国の関係は徐々に友好的になってきているが、お互いに学ばなければならないことも多いという。
「日本人はサウジ文化についてよく知りません。そのためサウジアラビア人を紹介するにあたって、少し大変なこともあります。しかしアラブ全体にとって日本はすばらしいチャンスに溢れています。誰に連絡を取るべきか分かってさえいれば、たくさんのビジネスを成し遂げられるはずです」とBantan氏は語る。
Bantan氏は、今後数年のうちにサウジ-日本間のビジネスがさらに多く現れることを楽しみにしている。そして、円滑に進めるためにはあらゆる尽力を惜しまないとのことだ。
「将来Alforieh氏や私のような人間が、日本とのビジネスに興味のあるアラブ人たちの連結点になりたいと願っています」と、彼は語る。