
イスミラ・ルトフィア・ティスナディブラタ
ジャカルタ:インドネシアのビジネス界は木曜日、主要セクターのさまざまなプロジェクトに何百億ドルもの投資を約束するアラブ首長国連邦との合意を歓迎した。
ジョコ・ウィドド大統領とその側近たちは今週、2日間のアブダビ公式訪問中に、エネルギー、物流、港湾建設、鉱業、農業などの分野に及ぶ総額229憶ドルの約束を取り付けた。
また代表団は、インドネシアの政府系ファンド設立をアラブ首長国連邦が支援するという約束を取り付けたことも明らかにした。
二国間会議で、インドネシアの大統領とアブダビ皇太子のシェイフ・ムハンマド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン氏は、両国間の11件の事業合意に署名した。アラブ首長国連邦は、合意済み支出総額のうちの68億ドルをこれらの構想に充てることを約束したと、ルトノ・マルスディ・インドネシア外務大臣は述べた。
ルフット・パンジャイタン・インドネシア海事担当調整大臣は、アラブ首長国連邦の公約はおそらく「インドネシア史上最大の合意」であるとし、皇太子が昨年7月にインドネシアを訪問したことに触れ、「同国とはたった6カ月で契約が完了した」と述べた。
ほとんどの人々がこの締結を称えているものの、インドネシア・ビジネス界のトップの人々のなかには、プロジェクトの長期的展望について慎重な見方をする人々もいる。
インドネシア商工会の中東委員会とイスラム協力機構(OIC)のトップであるファクリー・タイブ氏は、この構想が雇用創出や他のベンチャー事業を通して幅広いドミノ効果の引き金になり得ると述べた。
「政府は投資の実現に向け、これらの取決めを追跡して強く後押しすることのできる強力なロビー活動チームを編成する必要があります。我々は他の湾岸諸国とこのような約束を交わしてきましたが、その後のロビー活動がなかったために、約束はほとんど実現されませんでした」とアラブニュースに語った。
インドネシアと中東間の貿易に携わるビジネスマンであるザイニ・アラウィ氏は、次のように述べた。「インドネシアがこれらの投資契約を適切に処理することができると示せば、これが他の湾岸諸国のこの国に対する投資を引き付けるよい前例となるでしょう」
インドネシア外務省の中東担当局長アフマド・リザル・プルナマ氏は、アラブ首長国連邦の68億ドルの約束は、長期計画の第一段階に過ぎないとアラブニュースに語った。
ウィドド大統領と皇太子は、健康、農業、イスラム関連事項、反テロリズムにおける5つの政府間協力合意も締結した。
ファクルル・ラジ・インドネシア宗教大臣は、この協力合意の主要な側面のひとつは、宗教の穏健化を促進させ、過激思想の危険認識を高めることにあると述べた。
概要
アラブ首長国連邦は、インドネシアの政府系ファンド設立への支援を約束した。
大統領の故郷であるジャワ島のソロにアブダビ・グランドモスクのレプリカを建設する資金をアラブ首長国連邦が約束したことに触れながら、この投資は、すべての人々を受け入れてイスラム中道派促進に重要な役割を果たすモスクを設立することへの、両国の深い関与の一環であるとラジ宗教相は指摘した。
インドネシア大学の中東研究専門家であるリザ・ウィディアサ氏は、この協力合意は、中東諸国のすべてがイスラムの保守的教義を順守しているわけではないことを、より多くのインドネシア国民が理解するのに役立つとアラブニュースに語った。「彼らも宗教の過激主義や改革主義に対して非常に積極的に反対しています」と彼は述べた。
何十億ドルというプロジェクトに加えてインドネシアは、インドネシアの政府系ファンド設立への支援に関しても、アラブ首長国連邦の公約を取り付けたとプルナマ氏は述べた。同ファンドにはアラブ首長国連邦、米国国際開発金融公社、日本のソフトバンクが資金を出すことになっている。
そしてパンジャイタン氏によれば、アラブ首長国連邦は同ファンドの「最大貢献者」となることを約束したという。
同ファンドは、インドネシア国内の意欲的なインフラ開発プロジェクトや、東カリマンタン州に計画中の新たな首都建設のための資金として使われることになっている。新首都への移転コストは330憶ドルと見積もられており、そのうちインドネシアが負担できるのはたったの19%だ。
これに関与するすべての当事者が間もなく東京に集まり、資金構造を設定して計画をまとめることになっている。インドネシア政府はこの計画の開始を、皇太子がウィドド大統領に今回の構想を提案した1年後となる2020年中頃に予定している。
「これは、巨大資本家たちがひとつのプロジェクトで協力する最初の仕事となる可能性があります」とパンジャイタン氏は付け加えた。