
ニルマル・ナラヤナン
リヤド:国連高官によると、持続可能な未来を確保するために各国が協力しているにもかかわらず、温室効果ガスの排出量は必要な速度で減少していないという。
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のサイモン・スティル事務局長は、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されている国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)の場で記者会見を行い、1.5度の温度上昇の制限を守り、将来にわたって安全な世界を確保するため、変動緩和策を強化すべきだと述べた。
「最近の報告では、温室効果ガスの排出量が必要な速度や規模で減少していないことが示されている。
より安全な世界を確保するために、1.5度の温度上昇の制限を守り、緩和策を強化する必要がある」。
スティル氏はこのように述べた。
さらに同氏は、「科学が教えているのは、世界中のすべての地域社会が気候変動の影響を受けているということだ。
それは悪化の一途をたどっている」と付言した。
続けて同氏は、各国間の信頼と協調の体制を確立するためには、透明性と説明責任を強化する必要があり、それが気候変動対策のモニタリングを改善することにもつながると述べた。
COP27議長のサーメハ・シュクリ氏は、地政学的な緊張が、持続可能な未来の実現過程に悪影響を与えていると指摘した。
さらに、 「現在の地政学的な状況や、それが世界経済に与える影響が、気候変動に関連する課題の解決や、これまでの公約の履行に支障をきたしている」と述べた。
シュクリ氏は、気候変動に関する目標を達成するためには、各国間の共通の努力と協力が必要であるとし、次のように訴えた。
「私たちが効果を考慮して行うことは、何びとをも置き去りにしない共通の努力の上に成り立つものでなければならない」
一方、COP27気候変動サミットの代表者らは、気候変動に最も脆弱な貧困国が抱える苦難に対し、経済的に豊かな国々が補償すべきかどうかについて議論することに同意した。
COP27での争点の大部分は、損失と損害に関係するものになると予想される。
それはつまり、温室効果ガスの排出にほとんど責任を負うことのない脆弱な低所得国に対し、富裕国が提供する資金に関わる問題だ。
昨年にグラスゴーで開かれたCOP26では、高所得国がこの損失・損害にまつわる資金調達機関を設立する提案を阻止し、その代わりに、資金調達に関する3年間の新しい対話の開始を支持している。
現在、COP27で展開されている損失と損害の議論では、責任や拘束力のある補償は含まれていないが、シュクリ氏は「遅くとも2024年までに」結論を導き出す意向だと述べている。