アラブニュース
リヤド:エジプトで開催されたサウジアラビア主導の「中東グリーン・イニシアティブ・サミット」(MGIサミット)では、アラビア湾岸諸国の指導者が一堂に会し、サミットについて気候変動との闘いにおけるアラブ地域の転換点であると評価した。
国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に合わせて開催されたこの第2回MGIサミットでは、中東をはじめとする各国の指導者が顔を合わせ、深刻化する環境問題への取り組みについて話し合った。
英国のジェームズ・クレバリー外相は、「湾岸の砂嵐、アルジェリアの火災、レバノンの洪水」などを引き合いに出し、気候変動の影響はすでに中東全域に及んでいると述べた。
「この地域全体が既に、異常気象に対して危険なほど脆弱な状態となっている」。クレバリー氏はこのように付言した。
また同氏は、気候変動との闘いにおいてMGIが果たしている役割に言及し、次のように述べた。
「グリーン・イニシアティブのおかげで、未来はより安全で、少し明るく見える」
クウェートのシェイク・ミシャール・アル・アフマド・アル・ジャベール・アル・サバーハ皇太子は、同国が2050年までにカーボンニュートラルを達成する計画を立てており、植林、樹木被覆率の上昇、自然保護区の設置により緑地を増やすという新しいプロジェクトを実行する予定であると述べた。
「サウジアラビアによる中東グリーン・イニシアティブ・サミットの立ち上げは、重要な意味を持つ。中東地域の気候変動対策の転換点であり、地域協力の基盤でもある」。
アル・サバーハ氏はこう強調した。
また同氏は、「グリーン・イニシアティブ」は、地域的にも国際的にも、数多くの共通の願いを実現するものだ」とも述べた。
アル・サバーハ氏によると、クウェートは、気候変動問題に対処する環境プロジェクトを実施するために、国連との協力にも注力しているという。
エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は、サミットでの演説で、アラブ諸国がこのイニシアティブがもたらす技術・資金協力の機会をうまく捉えるよう促した。
「アラブ地域は他地域と比べても、農地の質、土壌の肥沃度、気温の上昇、干ばつや洪水現象などの点で、気候変動の悪影響にひどく苛まれている」。
エルシーシ氏はこのように述べた。
また、エルシーシ氏は、アラブ諸国は気候変動への対応に必要な措置を講じてきており、エジプトも既に、太陽光や風力といった再生可能エネルギーへの抜本的な転換を始めていると付言した。
同氏は、気候変動対策にアラブ諸国が協力する環境を整えるため、サウジアラビアの皇太子が行っている努力を称えた。
「これまでに、多くの国がこのイニシアティブに参加してきた。再生可能エネルギーへの転換の取り組みや、気候変動の悪影響に効果的な適応策を講じる水準をみても、アラブ地域が、気候変動に真剣に向き合っていることを示している」。
エルシーシ氏はこのように述べた。
同氏は、「アラブ諸国は、このイニシアティブの枠組みの中で努力を重ねている。
アラブ首長国連邦で次回のCOPが開催されることは、気候変動に関して、各国が自ら果たす役割と協力のために尽力している証拠でもある」とも述べた。
エルシーシ氏は、このイニシアティブが、気候変動問題に立ち向かうために各国が新たな投資を行い、新技術向けの革新的な資金調達のための新しいメカニズムを確立する大きな機会を生み出していると述べた。
さらに、このイニシアティブによって、気候変動の悪影響を軽減する技術的統合を実現するため、各国の研究機関を結ぶ付ける技術協力の強化に向けた適切な枠組みが提供されたと付け加えた。
「今日の我々の会議は、気候変動に対処するために必要な緊急行動と効果的措置という巨大な実現目標に向かう世界のリーダーたちの良い機会である。
我々に時間的余裕はない。排出量のギャップを軽減することが重要であり、実現に向けて緊急に行動し対策を講じるためのメカニズムを確立することが必要となる」。エルシーシ氏はこのように訴えた。
チュニジアのナジュラ・ブーデン首相は、同国が資金調達のメカニズムを通して中東グリーン・イニシアティブを全面的に支援することを約束した。
ブーデン氏は、チュニジアは今後数年間の国家目標に対し、戦略的方向性を取り入れたと述べた。
「中東グリーン・イニシアティブの目標は、チュニジアの国家戦略目標と一致している。それゆえ、このイニシアティブの成功に向けたあらゆる資金調達メカニズムを実現するために、国としての支援と当該イニシアティブへの関与を改めて表明したい」。
ブーデン氏はこのように述べた。
「私たちはこの戦略的方向性を、今後数年間の国家改革に取り入れた。これは、我々の資源と専門知識に立脚しつつ、グリーン経済の必要性に見合った女性や若者の役割を支援し、グリーンファイナンスメカニズムから利益を得るために、地域内の二国間レベルで包括的なパートナーシップを結ぶためだ」。同氏はこう付言した。
また、ブーデン氏は、地球環境の持続可能性の実現に向けた協調行動にはさらなる努力が必要であることから、この計画が人類にとって画期的なものになると強調した。
ブーデン氏は、「国際社会が依然としてあらゆる誓約と公約の実践に向けて悠長に動いている間に、環境災害は増大し、悪化している」とも述べた。
ヨルダンのアル・フセイン・ビン・アブドゥッラー2世皇太子はサミットの席上、現在と将来の世代のために環境に優しく持続可能な未来を保証するために必要な政策、プログラム、創造的な是正策の確立に向けた協力を呼びかけた。
さらに、アブドゥッラー2世は、局地的、地域的、そして世界的なレベルで民間および公共部門と連携し、若者や女性を取り込んで経済を近代化する計画について言及した。