
日本のゲームメーカーの任天堂は、半導体不足によりゲーム機の生産が抑制されニンテンドースイッチの通年販売計画を10%近く削減したが、円安の効果を織り込み年間純利益の見通しを上方修正した。
収益の約8割を海外で稼ぐ任天堂は2023年3月期の純利益を従来予想の3,400億円から4,000億円(27億3,000万ドル)に拡大する見通しだ。
この新しい見通しは、リフィニティブが21人のアナリストに実施した投票調査による利益予想のコンセンサスである4,630億円に届いていない。
「スーパーマリオブラザーズ」や「ゼルダの伝説」などの大ヒットタイトルを擁する同社は通年のニンテンドースイッチの販売台数見通しを2,100万台から1,900万台に下方修正した。
しかし任天堂の古川俊太郎社長は、ここ数カ月で半導体の供給が回復し始めニンテンドースイッチの生産を後押ししていると述べた。業界は重要な年末商戦に向かっている。
「10月以降、急ピッチで(ニンテンドースイッチを)製造しています。今年度の初め頃よりも少し明るい見通しです」と古川社長はオンラインブリーフィングで述べた。
アナリストは、半導体不足の緩和と強力なソフトウェアラインナップが任天堂の利益をし上げることになりそうだと話す。
「半導体の供給が改善されてきており、『ポケモン』のような強力なゲームも出てきています。年末から来年初めにかけて業績回復が期待されます」と岩井コスモ証券の川崎智明アナリストは話す。
今後発売予定の任天堂のソフトウェアには今月発売予定のロールプレイングゲームの「ポケモン・スカーレット」と「ポケモンバイオレット」などがある。
京都に本社がある同社は今年の急激な円安を反映し、前提ドル円レートを115円から135円に変更した。
7~9月期のニンテンドースイッチの販売台数は325万台だった。いまや同製品は発売から6年目を迎えている。
前年同期の383万台からは減少したものの、同四半期に販売されたプレイステーション5(PS5)の330万台とほぼ同程度だった。ソニーグループ株式会社のPS5はニンテンドースイッチより3年以上新しい機種だ。
「通常、過去の任天堂のハード機の売上は3年目あたりがピークで、そこから下降していく傾向があります。しかし、今回、スイッチは5年目、そして6年目になっても勢いはあまり落ちていません」と東洋証券のアナリスト安田秀樹氏は話す。
任天堂のソフトウェアの売上は最新作「スプラトゥーン」の好調な需要に支えられ、3ヶ月間で11%増の5,400万本だった。
同社によると、プレイヤー同士の険しい縄張り争いを特徴とする「スプラトゥーン3」は9月9日の発売後3日間で日本国内での販売が345万本を超え、任天堂の日本国内の販売直後の売上としては過去最高を記録したとのことだ。
ロイター