

ファラ・ヘイバ、アブダビ
デジタル技術は労働力に取って代わるものではなく、その目的は、さまざまな産業部門における非効率な分野を改善することだと、AVEVA Group plcの最高経営責任者クレッグ・ヘルマン氏はアラブニュースに語った。
ヘルマン氏によると、小売から金融サービス、通信に至るまで、世界中のほとんどの分野が何らかの方法でデジタル化されているという。
しかし、このようにデジタル技術が広く導入されたことで、必然的に職場でのコストが削減され、効率性が向上する一方で、多くの人にとって自分の仕事が終焉する前兆だとも考えられている。
経済協力開発機構(OECD)の2019年の報告書によると、全世界の労働者の約14%の仕事が将来自動化される恐れが高く、「32%が、仕事に必要な任務の大きな変化に直面し、その結果として仕事に必要となるスキルが大きく変化する」と推定されている。
2017年のマッキンゼー・アンド・カンパニーによる別の報告書によると、2030年までに世界中で最大8億人の労働者がロボットに取って代わられる可能性があるという。
しかしヘルマン氏は、テクノロジーは人に取って代わるものではなく、人らを助け支援するものであるべきだと考えていると述べた。
「AVEVAがサービスを提供している業界では、非効率な分野があまりに多いため、労働力を一切差し替えることなく改善を提供しています。むしろ、より効果的に仕事をするためのツールを提供しているということです」と同氏は付け加えた。
ヘルマン氏によると、たとえば、メンテナンス修理を行っている作業員には、この修理に関連する正しい分離手順について詳しく知るためのツールが与えられるという。
OECDの2019年の報告書によると、デジタル化が労働に与える影響は、均等に分布しているわけでもなければ、一定のペースで発生しているわけでもないという。「特定の仕事や部門、そして特定の地理的領域に集中する可能性が最も高く、断続的に移動する可能性がある」と報告書は付け加えている。
世界中のデジタル技術は、過去10年間にさまざまな産業分野で変革を目の当たりにし始めたが、中東はこの変革の主要な貢献者となった。
ヘルマン氏によると、アラブ首長国連邦は、産業分野におけるデジタル変革の成果が中東でもトップクラスにあるという。
マッキンゼー・アンド・カンパニーの2016年の報告書によると、アラブ首長国連邦はデジタル技術の採用においてもトップクラスであり、いくつかの指標においては世界のデジタル分野のリーダーにも匹敵するという。
ヘルマン氏は、同地域には強力なデジタル分野に対する野心があると確信していると述べた。「中東のデジタルプロジェクトには、良い結果を出し始めているものがいくつかあると思います。それらは、アルマライ(Al-Marai)やアラブ首長国連邦アブダビ国営石油会社(ADNOC)などといった顧客に見られます」
たとえば、UAEの石油・ガス部門には、ADNOCのパノラマ・デジタル・コマンド・センターがある。これは、洞察を提供し、パフォーマンスを向上させる新しい方法を特定するリアルタイムのデータ視覚化センターだ。「パノラマ・デジタル・コマンド・センターは、世界中で知られています。ほぼ2年前に私たちが行った8週間のプロジェクトでした」とヘルマン氏は述べた。
サウジアラビアのアラムコの2018年の報告によると、アラムコ社も「工場内の遠隔点検や整備におけるロボットや自律型装置の活用、高度な解析能力を備えたスマートセンサーの設置など」といった技術プロジェクトを確立しているという。
企業が石油およびガス分野のサービスをデジタル化するために費やしている金額について質問されたヘルマン氏は、年間約2500億ドルが石油およびガス分野の設備投資に費やされていると回答した。
サウジアラビアは2019年に始まったデジタル変革戦略を採用しており、2022年に完了する予定である。この戦略の「主な構成要素はデジタルヘルス、デジタル教育、Eコマース、スマートシティである」とサウジ・ナショナル・プラットフォームによる2019年の報告書で述べられている。
保健分野では、サウジアラビアは2019年に遠隔医療技術を導入して百万人の命を救い、そのうち1万人が危機的状況にあったと、サウジアラビア通信・情報技術省のアブドラ・ビン・アメル・アル・サワハ大臣は、今年ダボスで開かれた世界経済フォーラムのパネルディスカッションで述べた。
遠隔医療とは、直接患者を訪問することなく患者に電子医療サービスを提供する技術である。
デジタル教育分野では、サウジアラビアはサウジアラビア・デジタル図書館(SDL)を設立した。サウジ教育省によると、SDLには、アラブ世界で最大の学術情報資源のコレクションがあると言われている。「SDLには、さまざまな学術分野を網羅する31万以上の学術文献があります。同図書館のコンテンツは継続的に更新され、長期にわたって膨大な知識資源を提供しています」
こういったデジタルトレンドが起業家にもたらす機会と課題について尋ねられたヘルマン氏は、起業家が信頼とパートナーシップという観点から技術を提供できるのであれば、彼らは間違いなく正しい道を進んでいると述べた。
世界経済フォーラムが2019年に発表した報告書によると、デジタル技術は、政府や民間セクターが「大規模かつ低コストで共有、学習、リソースへのアクセスを可能にする、総括的なグローバル企業家エコシステム」を形成するイニシアティブを立ち上げるのに役立つという。