
先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合が15日、札幌市で2日間の日程で開幕した。産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える国際枠組み「パリ協定」の目標達成に向け、温室効果ガス排出削減の上積みに各国の足並みがそろうかが焦点だ。共同声明には、温室効果ガスを「2035年に19年比60%削減する緊急性を強調する」と盛り込む方向で調整している。
議長国の日本は脱炭素化の推進とロシアのウクライナ侵攻で揺らぐエネルギーの安定供給確保の両立を目指す考えだ。西村康稔経済産業相と西村明宏環境相が出席した。
会議の冒頭、西村経産相は「われわれは今、石油・ガス・石炭の価格高騰をはじめ、これまでに経験したことのない不安定なエネルギー市場やサプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性の課題に直面している」と述べた。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は先月、「1.5度目標」達成には温室効果ガスを35年に19年と比べ、6割減らす必要があるとの報告書を公表。これを踏まえ、G7としても目標の重要性を確認する。
石炭火力発電については、昨年ドイツで開かれたG7閣僚会合で合意した「段階的に廃止する」目標を踏襲する形で各国に提案する。ただ、ドイツなどは廃止時期の明確化を求めており、議長国として共同声明をとりまとめる日本は、難しい対応を迫られそうだ。
自動車から出る二酸化炭素(CO2)の排出削減では、35年までに00年比で50%削減する目標で合意する見通し。
時事通信