
札幌市で2日間の日程で開催されていた先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合が16日、閉幕した。採択した共同声明には世界の温室効果ガス排出量を「2035年に19年比60%削減する緊急性を強調する」と明記。ロシアのウクライナ侵攻を背景とするエネルギー危機下でも、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える国際枠組み「パリ協定」の目標達成を確実に進める姿勢で一致した。
一方、車から排出される二酸化炭素(CO2)を「35年までに半減する」と合意し声明に盛り込んだが、米欧が求めていた電気自動車(EV)など走行中に温室効果ガスを排出しない「ゼロエミッション車(ZEV)」の導入目標は示さなかった。
石炭火力の段階的廃止についても「1.5度目標と整合した形で行う」としたものの、その具体的な実施時期には踏み込んでいない。再生可能エネルギー普及が遅れていることなどで石炭を含め火力発電に頼らざるを得なかったり、ハイブリッド車(HV)を得意とする国内自動車メーカーへの配慮を欠かせなかったりする議長国・日本の事情を色濃く反映した声明となった。
G7閣僚会合後に記者会見した西村康稔経済産業相は「既存の車を含めて排出量を減らすという認識を共有できたのは大きな意義がある」と成果を強調した。
時事通信